脳ざらし紀行


2003-06-01

_ [アニメ] 渡辺繁

2ちゃんねるのスチームボーイスレより。バンダイビジュアルの取締役でスチームボーイのプロデューサーの渡辺繁さんの次の発言が興味深い。

「きちんとまじめに作った作品は不滅の評価と価値を生成する」これは最初の劇場作品「王立宇宙軍 オネアミスの翼」の制作前に、直接宮崎駿さんに教わったことです。本当に優れた作品は、たとえ最初は苦戦しても、数年かければ必ず利益を生み出すので、長期的・世界的な視野で取り組むこと。先が見えないことに踏み出すにはそれなりの覚悟が必要ですが、怖がっていては何も生み出せない。明日を見据えて勇気を持って自分の主張を貫いていきたいと思っています。そして途中どんなに苦しくてもあきらめずにやり遂げること。「スチームボーイ」も7年の間、色々な人間が支えてきた作品です。

平成15年2月期事業報告書(PDF)より。

_ [経済] インフレ目標でも十分ではない

経済板@いちごびびえすより。FRBのバーナンケ理事の日本金融学会での講演。『インフレ目標政策』と『過去5年間に例えば年1%のインフレが起きていたら達成できたはずの物価水準への回復を宣言する政策(物価水準目標)』の二段構えの政策を提案。

福井日銀総裁の日本金融学会での講演。なんだかなー。

_ [本] モンティニーの狼男爵

佐藤亜紀著「モンティニーの狼男爵」、読了。愉快な物語でした。

_ [アニメ] 顎アニメ

今日のトリビア。で検索すると、公式ページがヒットする。へぇー。


2003-06-03

_ [ネット][経済] ネットワークの外部性

八田さんの記事中での「ネットワークの外部性」の使い方は間違っていると僕は思う。以下はその説明。

「外部性(externalities)」とは経済学の用語。スティグリッツミクロ経済学では

個人または企業が、他の個人や企業に影響を及ぼす行動をとったとしても、それに対して対価を支払ったり補償を受けたりしないことである。

と定義されている。例として挙げられているのは「公害」「天然資源の浪費」「公共財の供給」など。公害をたれ流して他の個人に影響を及ぼしてもその対価を支払わないとき外部性が存在する。

その「外部性」という概念の一部であるネットワークの「外部性」とは

ネットワークの外部性とは狭義には消費者の効用が消費者群の規模に依存する性質を指し、代表例としては、電気通信ネットアークが挙げられる

つまり、インターネット、電話ネットワークなどのように利用者が増えることでネットワーク自身の便益が増えるようなことを指す。

「ネットワークの外部性」という概念はOSに対しても使われる。OSのシェアが増えることでそのOS自身の便益が上がるからだ。しかし一般のソフトウェアには必ずしも当てはまらない。

OSだけでなく一般のソフトウェアに関しての話のはずだから、八田さんの記事中での「ネットワークの外部性」の使い方は間違っていると僕は思う。OSなどのようにシェアが増えることによってそのソフト自身の便益が増すような場合にのみ「ネットワークの外部性」は存在する。

「評判」の理論は「ネットワークの外部性」とは別に「情報の経済学」という分野の中にある。

完全情報のもとでは「評判」は必要ないし影響もしない。なぜならソフトウェア作者の実力は完全に知られているから評判を参考にする必要はない。実際には実力が完全に知られていることはない。そこら辺を探るのは「情報の経済学」。

「評判」の場合とちがって完全情報のもとでも「ネットワークの外部性」は存在する。WindowsとMacの性能、将来出るであろう対応ソフトなどが完全にすべての消費者に知られていたとしても(あるいは知られているからこそ)、Windowsのシェアによる便益は発生する。

_ [本][経済] ハリウッド・ビジネス

ミドリ・モール著「ハリウッド・ビジネス」(文春新書)、読了。面白かった。これさえ読めば、ハリウッドに関してしたり顔で蘊蓄をたれ流すことができる。この本によるとハリウッドは基本的に村社会。いつも訴訟ばかりしている。契約は口約束で済ますことも多い。いざ裁判になっても最後は映画業界での力関係がものをいう。お金の流れも不明瞭。映画スタジオには4つの帳簿があるといわれている。株主用、投資家用、税務署用、そして内部用。

これだけでたらめやっていて、どうして世界中でハリウッド映画は成功しているのだろうか。興味深い。

_ [経済] 人々の期待への働きかけが重要

FRB理事のバーナンキの日本金融学会での講演。その中で「」と同時に「物価水準目標」を採用することを日本銀行に提案した。以下はその理由。

人々が中央銀行の総裁は、目標値から離れるほど積極的な対応をすると予想していると仮定する。さて、安定したデフレ下にある経済において中央銀行の総裁がある固定されたインフレ目標を宣言し、しかしある期間において何ら進展が見られなかったとする。次の期間において中央銀行は前期と同じ状況にある。仮定より中央銀行は目標値を達成するためのより一層の努力をする動機づけを持たない。また人々が中央銀行がより一層の努力をするだろうと予想する理由もない。この点において、インフレ目標はあまりにも「寛大な」目標だ。失敗にペナルティがない。さらなる努力も要求されない。対照的に、物価水準目標では、物価上昇のパスをともなう物価水準目標と持続的なデフレは時間とともに物価水準の目標とのギャップを大きくする。

よって、中央銀行のある期間内での目標達成の失敗は次の期間でのさらなる努力の予想を導く。たとえば、公開市場でのより多くの買付けなど。だからたとえ中央銀行が目標達成の期間を規定するのを嫌がったとしても、物価水準目標の構造は中央銀行に初期の対デフレ対策が不十分だった場合にその努力を一層強めることにコミットする手段を与える。

人々の期待(予想)への働きかけが重要であることがくり返し指摘されている。


2003-06-05

_ [本] 鏡の影

佐藤亜紀著「鏡の影」、読了。まあまあ。ヨハネス博士珍道中記。

_ [ネット][経済] ネットワークの外部性、つづき

経済は専門ではないのであまり色々書くとぼろが出てしまいそうだけど。

八田さんが例として、挙げられたように、ソフトウェアが普及することによる間接的なメリットが作者に対して存在する場合にはたしかに外部性が存在すると言えると思います。だけどその外部性が「ネットワークの外部性」の定義には当てはまらないと思います。

前に挙げたものよりもわかりやすい「ネットワークの外部性」の定義

同じ財・サービスを消費する個人の数が多ければ多いほど、その財・サービスの消費から得られる効用が高まる効果

今の場合は、ソフトウェアが普及することによってユーザーが受ける便益が増える場合に「ネットワークの外部性」が存在すると言います。ソフトウェアの作者は直接的には関係ありません。

八田さんが挙げた例ではソフトウェアの作者に対する(間接的な)メリットが増えることを指して「ネットワークの外部性」という言葉を使っているわけですが、これは上に挙げた定義に当てはまらないと思います。

ソフトウェアに関するネットワークの外部性はOS市場において見ることができます。つまりOSが普及すればそのOSに対応するソフトも増えて結果的にOS自身から受ける便益が増えます。これは家庭用ゲーム機市場でも見ることができます。

逆にブラウザのシェアがいくら上昇してもそのブラウザからユーザーが受ける便益は増えません。だからブラウザ市場にはネットワーク外部性がないと言えます。(ActiveXとかJavaアプレットとか言い出すと話がややこしくなるので無視します。)

OS以外にもネットワーク外部性のあるソフトウェア市場は存在するかもしれません。が、よく知りません。


2003-06-06

_ [ネット]

WikiにIPv6のページを作った。IPv6関連のリンク集。またリンク集…。リンク集職人と読んでくらさい。ここからたどって記事を読めば明日からしたり顔でIPv6について話すことができるはず。したり。void GraphicWizardsLair( void ); //の過去の日記を参考にした。


2003-06-07

_ [ネット] RFC 2893

djbさんが以下のように言っている。

IPv6 proponents は RFC 2893 はローカルオプションであって、 IPv6 アーキテクチャには含まれないと言っています。とりわけ、 IPv6 クライアントは RFC 2893 アドレスを使って IPv4 アドレスへパケットを送るべきではないと彼等は言います。

実際に IPv6 proponents の上のような発言を読んでみたいのだけど、どこにあるのだろう。 IETF のメーリングリスト?

■追記 djbさんの ngtransメーリングリストでの発言。 なお ngtrans は閉鎖され、 v6ops になった。

_ [ネット] Creative Commons ライセンス

僕が前に書いた Creative Commons ライセンスに関する疑問に matさんが答えてくれました。難しい。こういったライセンスのレビューを弁護士に頼むとどれくらい掛かるのだろうか。

_ [本] 天使

佐藤亜紀著「天使」、読了。おもしろかった。人が死んで、国が滅びて、人が死ぬ話。

_ [ネット] AutoIPv6

djbさんが提案している 代替案が具体的にどんなものなのかまったく分からない。誰か説明して。


2003-06-08

_ [ネット] djbが俺達に伝えたかったこと

僕なりに考えて書いてみた。確かに djbの方法だと、IPv6ネットワークとIPv4ネットワークの接続部分での適切な設定のみが必要となるだけ。各ホストは IPv6対応にアップグレードするだけで、再設定をする必要はない。

例えば、現在でも 6to4 により IPv4ネットワークから IPv6ネットワークに接続することができる。しかし、各クライアントに 6to4リレールータを設定する手間を掛ける必要がある。クライアントが多くなれば負荷分散のための仕組みも必要になってくる。

_ [サッカー] ジーコジャパンが俺達に伝えたかったこと

たとえ敵のプレーであってもため息が洩れることがある。


2003-06-09

_ [ネット][経済] 事例研究:IPv6への移行

インターネットのIPv4からIPv6への移行は、ネットワークの経済の事例研究としても興味深いように僕には思える。世界でもっとも巨大なネットワークの一つであるインターネットの基本プロトコルを新しい規格に移行するという一大事業。IPv6への移行がどのように立案、計画されたか。どのように普及していくか。計画された移行パスは果たして有効か。ブリッジテクノロジーはその役割を果たすか。

計算機ネットワークはネットワークの外部性の典型例である。あたりまえだけど。ネットワークユーザーが多いネットワークはそれだけで魅力的だし、ユーザーのいないネットワークには魅力がない。

インターネットが中央集権的な仕組みをもたないネットワークであることは移行をより一層困難にする。

IPv6への移行が成功するかどうかは分からないけど、どっちにしろネットワーク経済のひとつの事例として興味深い事に変わりはない。ので最近ちょこちょこと IPv6に関して調べている。

ネットワーク経済の法則」の第7章が参考になる。

_ [ネット] WiLiKi:TreeModel

Wikiのページ間の関係をどのようにあらわすか。おもしろい。

_ [ネット] The Complete History of Hacking

MITの鉄道模型倶楽部を発端とする「Hack」の歴史。けんのぼやきより。


2003-06-12

_ [アニメ][本] ナカヨシ

オタク座談会。かないみかさんと原恵一監督の章だけ読んだ。「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」の制作話が読めておもしろかった。

「だぁ!だぁ!だぁ!」のアフレコでは絵が間に合わないっぽい(かない証言)。NHKのアニメは余裕ありまくりのスケジュールで作られていると思っていたんだけど、民放とそんなに変わらないのかな。金田朋子さんがラジオでアフレコのときのおもしろ話をしていたんだけど、そのアニメが実際に放送されたのがその半年〜1年後ということがあった。作品によって違うのか。

_ [本] イノベーションのジレンマ

まだ途中だけど、予想していたよりもさらに上をいく面白さ。

_ [ネット] 計算時間の寄付

オープンソースでお金を儲ける方法。その一つとして、ソフトの作者がソフトの使用者からCPUの計算時間を寄付してもらって、第3者にCPUの計算時間を売るという方法を思いついた。だけど、「SETI@home解析マシンの電気料金を測定しよう」を見る限り、単純に金銭の寄付を募った方が安上がりのようだ。でも計算時間の寄付というのは手段としては手軽だと思う。

_ [経済]

経済板@いちごびびえすのくだ質3で繰り延べ税金資産の話。

174: ドラエモン  2003/06/12(Thu) 02:19

>>173 業務純益の絶対値は今でも史上最高水準だろう?

175: 3周年名無しさん  2003/06/12(Thu) 04:48

>>173,174

業務純益でなくて経常収益の誤りか?貸引繰入前の業務純益は>>174の言うように確かに史上最高水準だが、貸引を繰り入れるとそれだけで赤字だ。経常収益の絶対額が高いときの方が、償却余力が大きかったということは間違いではない

179: ドラエモン  2003/06/12(Thu) 10:31

>>176

恣意的もなにも、

>業務純益が確保できた頃にね

にコメントしただけだけど。で、>>175の言うように貸し倒れ引き当てをするから赤字になってるわけ。よく「銀行のビジネスモデルを変えなければいけない」というような話があるけど、ビジネスモデルの収益性を反映するのは業務純益じゃないのかな?バブルの頃に「業務純益」を強調していたのは三菱銀行で、益出しとかで経常利益を膨らませている(これが今日、保有株式のコストを引き上げ含みの減少に貢献している)その他の大手銀行を批判していたようにおもうけど?

知らなかった。繰り延べ税金資産に関しては5月18日の日記も参照して下さい。


2003-06-13

_ [国際] The Empire That Was Russia

たかはしさんの日記より。1910年代の帝政ロシアのカラー写真。写真家 Prokudin-Gorskii の数千枚にのぼる膨大なコレクション。すごく鮮明。1910年にどうしてカラー写真が撮影可能だったかは、たかはしさんの日記を参照。

滅びゆくもの独特の美しさが漂っている気がする。

_ [プライバシー][後で] PrivacyReport

JoiItoさんを中心とする人たちが作成した各国の特に電子政府に関するプライバシーのレポート。レッシグさんや山根さんも参加している。山根さんの日記でも紹介されているけど、リンクが間違っているのでこちらでも改めて紹介。

_ [ネット] Wikiのトラブル

naokoさんの日記から。

1.目次のページに

[[Aについて]] 

というふうに、 WikiNameが存在する。

2.この「Aについて」というページに「B」に関する記述も増えた。

3.目次のページにある WikiNameを

[[AとBについて]]

にかえた。

4.WikiName「AとBについて」は「AとBについて」というタイトルのページを指すようになる。「Aについて」というページが消えたように錯覚する。

WikiNameと日本語の問題に起因するんだと思う。 WikiNameが日本語だと対応する WikiPageの URLはエンコードされたものになる。この URLは人間にはほとんど可読不可能。だから WikiName と URL が一対一に対応していることが Wiki をはじめて使う人にはわからない。 WikiNameを変えたらリンク先が変わることもわからない。

Wiki の一番重要なところが日本語の WikiNameを使うことによってブラックボックスになってしまっているということなんだと思う。


2003-06-14

_ [映画] もしもスミスが100人のタモさんだったら

「MATRIX RELOADED」を見てきた。おもしろかった。

良く見るとエージェントスミスのうちのひとりがタモリさんでした。

ストーリーは無きに等しいけど、1作目を上回る馬鹿っぷりが良かった。

_ [映画][アニメ] ANIMATRIX

本の画像レンタルして見た。これはひどい。作品として成り立っていない(Beyondを除く)。

ショートアニメあるいはショートフィルムを独立したひとつの作品として仕上げる技術を「おじゃる丸」を見て一から勉強するべきだ。


2003-06-15

_ [映画] ギリーは首ったけ

レンタルビデオ屋で「ギリーは首ったけ」を借りて見た。悪くない。「メリーに首ったけ」より質はかなり劣るけど、それでも悪くない。ちゃんと落ちてるし。

気がつくとレンタルビデオ屋のDVDレンタルの品ぞろえが充実してきていたので、最近色々借りて見ている。

_ [ネット][特許] ソフトウェア特許とクロスライセンス

リチャード・ストールマン著「フリーソフトウェアと自由な社会」を読んでいる。この第16章でストールマン氏はソフトウェア特許の危険性について書いている。さらに、ストールマン氏は 1990年のThink誌のIBMに関する記事を引用して次のように言っている。

(記事によれば)IBMは、9000件の米国特許(現在はもっと大きな数字になっているはずです)から、2種類の利益を引き出していると言います。1つはロイヤリティ収入、もう1つは「他者の特許へのアクセス」です。IBMによれば、第2の利益の方が桁違いに大きいということです。つまり、他者が特許をもっているアイディアをIBMでも使えるようになる利益は、IBMが特許の実試験を販売して得る直接的な利益の10倍だったということです。

これはどういう意味でしょうか。IBMが「他者の特許へのアクセス」から得ている利益とは何なのか。それは、基本的に、特許制度が引き起こす障害に巻き込まれないという利益です。(中略)IBMにとって、特許制度の害は、利益の10倍だったはずなのです。

つまり大企業がせっせと特許を申請しているのはロイヤリティが欲しいからではない。逆に他の企業の特許を使用できるようになるため、つまりクロスライセンスを結ぶために必要だから特許をせっせと申請しているんだ。これっておかしくない?、という話。

これとまったく同じ議論をたかはしさんが日記でゲーム産業に関してされていたので驚いた。たかはしさんはストールマンの議論を知っていてこれを書かれたんだろうか。

特許から得られる利益はロイヤリティ以外に排他的独占使用権もあるわけだから上の議論はもう少し煮つめる必要がある。それでも興味深い。

レッシグ氏が喜んで飛びつきそうなネタだけど、「コモンズ」にはこれと同様の議論は見当たらない。ひょっとしたら見落としているだけかも。

_ [ネット][経済] インターネットの5つの神話

InformationWeekの記事。 Googleに話題をさらわれて影が薄くなった気がする Amazon.com のベソスCEO。小売り業界のビジネスショウで以下の5つは神話であり間違っているという講演を行った。

  1. インターネット=ゴールドラッシュ
  2. ウォール街(株価)は営業活動を反映している
  3. Eコマースは従来の流通を葬る
  4. 核となる技術はオンラインも店内でも同じ
  5. 注文受付から発送までがEコマースで一番お金が掛かる

くりかえすけど、これらはすべて間違いだとベソス氏は言っている。


2003-06-17

_ [映画] アメリ

本の画像レンタルビデオ屋で「アメリ」を借りて見た。すばらしい。他に言いようがない。

ヨーロッパの町並みは美しい。絵になる。

_ [本] 文学賞メッタ斬り!

大森望さんと豊崎由美さんの対談。「シンちゃん、テルちゃん」に笑った。

_ [映画] トッツィー

本の画像レンタルビデオ屋で「トッツィー」を借りて見た。ビデオの方が安かったけど奮発してDVDを借りた。今読んでいる「ハリウッド・リライティング・バイブル」という本でこの映画が題材として取り上げられているので参考にと思って見た。これはおもしろい。

単に男性が女装しているからおかしいんじゃなくて、生身の人間であるダスティン・ホフマンが実際にしかもかなり達者に女性を演じているからこそおかしさが作り出される。ここら辺の味はCG俳優には絶対に作り出せないものだよなあと思った。


2003-06-18

_ [ネット] 32ドットビットマップフォントの無断複製について

2003 年 6 月 15 日、「渡邊フォント」などの名称で呼ばれ、広く利用されている 32 ドットビットマップフォントが、既存の製品をまるごとコピーした物であったことが判明しました。

むむ。

東風明朝フォントも配布を停止。スラッシュドットジャパン。関連 Wikiページ


2003-06-19

_ [ゲーム] Half-Life2

色んなところで何故か今さら話題。network styly *artifactWEB-YATAI。と思ったら DAKINIさんの掲示板(1421)が震源?4gamer

ゲーム産業論とおもしろいゲーム論はわけてしないといけない。個人的にはゲーム産業を分析することはどうやって良いか皆目検討がつかなくてあきらめた。だからゲームがおもしろいかどうか、しかも僕個人にとっておもしろいかどうかだけに興味がある。いまのところ。

メイドインワリオがじわ売れで40万本を突破することをどうやって説明したらいいんだろう。

ゲーム産業の経済分析」という本を本屋で見かけた。4200円はちょっと高い。買うか?

で、個人的な趣味嗜好の話。Half-LifeおよびHalf-Life2をするかといえば、しない。 FPSは嫌いだし、大体 Windowsマシンが部屋にない。買う予定もない。

秋にようやく日本で発売されるPS2の「GTA3」は買う。

今遊んでいるゲームは中古で買った「ミスタードリラー ドリルランド」。ゲームキューブのコントローラーでも案外違和感なく遊べる。

_ [その他] 阪神タイガースも六甲おろしにのって海を渡る

Guardian紙の阪神タイガースに関する記事。カーネル・サンダースネタも紹介されている。

_ [映画][本] 良い脚本とは

ハリウッド・リライティング・バイブル」を読んでいるけど、おもしろい。印象に残った言葉。

「あなたが今までに読んだ、どのホンよりもずっと素晴らしいんだ。」

「当然だ、誰でもいい脚本は書ける。大切なのはリライトで台無しになった後でも、まだしっかり機能するような脚本かどうかということだ。」

_ [映画][アニメ] 「スチームボーイ」公開延期のお知らせ

あれ、既に完成していたんじゃないの?


2003-06-20

_ [ゲーム] 日本のゲーム業界は閉鎖的?

圏外からのひとことのツッコみでの議論がおもしろい。日本のゲーム業界は閉鎖的か。またその原因は何か。

GDC(Game Developers Conference)で得られる知識はゲーム制作にとって重要なものか。もし重要でないなら、日本でGDCに相当するものがないことは、日本と海外のゲーム産業に決定的な差をもたらさない。もしも重要ならばゲーム会社が社員にGDCへの参加を推奨することさえあるはずだ。

例えば、DAKINIさんはBBSで以下のように発言(1449)している。

僕はというと、知識として海外の技術を集めるのは好きだけど、それはあくまで趣味的なものであって、実用として役に立つかというと結構懐疑的です

”すばらしい”技術を使っているゲームの実際のグラフィックや内容がそんなに良いとは到底思えない。酷い言い方をすれば、プログラマの自己満足の領域を出ていない印象をぬぐえない。

日本でGDCに相当するような技術情報の共有はどのようになされているか。あるいは全くなされていないのか。ゲーム制作において共有できるような技術情報は存在するか。

日本とその他の国のゲーム産業では当然違うところがあるだろう。もしその差がゲーム会社、あるいはゲーム制作者の経済状況に影響を与えるものでないなら、文化や歴史の偶然性で説明するしかないかもしれない。でもゲーム会社やゲーム制作者にとってその差が重要な経済的な違いをもたらすなら、単に「文化が違う」以外の説明が必要になる。

GDCの存在は果たして経済的な差異を日本と海外のゲーム産業にもたらしているだろうか。


2003-06-21

_ [ネット] .FreeBit.NE.JP からのアクセス

20分間に756回のアクセス。void GraphicWizardsLair( void ); //を参考にして .htaccess に追加。ボットが襲来するたびに .htaccess が肥大化していく。 .htaccess のオーバーヘッドってどれくらいなんだろう。

RewriteCond %{HTTP_REFERER}     ^$
RewriteCond %{REMOTE_HOST}      \.FreeBit\.NE\.JP$ [NC]
RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT}  "^Mozilla/4.0 \(compatible; MSIE 6.0; Windows 98\)$"
RewriteRule  .* - [F]

'RewriteRule .* - [F]'で '403 Forbidden' を返す。

_ [ネット] RewriteRuleのつづき

Apache の RewriteRule はいつもハマる。

.htaccess ファイルは .htaccess を置いたディレクトリとその全てのサブディレクトリに適用される。

しかし RewriteRuleは例外。.htaccess に RewriteRuleを書いてもサブディレクトリには反映されない。アクセス制御に RewriteRule を使う場合には注意が必要。.htaccess を置いたディレクトリしかアクセス制御できない。サブディレクトリにも RewriteRule を反映させるためには

RewriteOptions inherit

をサブディレクトリの .htaccess に書く。でも副作用に気をつける。

サーバの設定で HostnameLookups が on になっていないと、Apache はアドレスの逆引きをしない。この場合は REMOTE_HOST ではなく REMOTE_ADDR を使う。

というわけで、 REMOTE_ADDRを使って

RewriteCond %{HTTP_REFERER}     ^$
RewriteCond %{REMOTE_ADDR}     ^43\.244\. [OR]
RewriteCond %{REMOTE_ADDR}     ^61\.203\.17
RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT}  "^Mozilla/4.0 \(compatible; MSIE 6.0; Windows 98\)$"
RewriteRule  .* - [F]

こんな感じ。


2003-06-22

_ [ネット] YahooBBからのIriaでのアクセス

YahooBBユーザーのIriaでのアクセスを禁止。

RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT}  Iria
RewriteCond %{REMOTE_ADDR}     ^218.1[1-8] 
RewriteRule  .* - [F]

も参照。

_ [本] ハリウッド・リライティング・バイブル

読了。おもしろい。脚本家の自己表現などというものは一顧だにされない。常に観客にどういった作品を届けるかという観点から議論されている。示唆に富む言葉があちこちに散りばめられている。例えば、回想シーンの安易な使用を以下のように批判する。

回想は、出来事の流れを止めてしまうという性質を持つ。その上、現在よりも、遠い過去にモチべーションを見いだそうとする。もしモチベーションが本当に遠い過去にあるのなら、なぜ、登場人物はその過去の時点からストーリーをはじめていないのだろうか。つまり、真のモチベーションは現在に存在するべきものなのだ。

映画の脚本をしたり顔で批判したい人は必読。アニメ「メトロポリス」の脚本を担当された方には石の床の上に正座して壁に向かって3日間お経のように声に出して読みつづけて欲しい本である。

_ [ネット] 創発民主性

ns*より。一応、読んだ。「創発」、「複雑系」はアレ検出語なので安易に使わない方が良いと思った。

論文中ではあまり触れられていないけど、伊藤さんは政治学の知識を参照する必要があると思う。専門家が積み重ねてきたものには参照するだけの価値がある。僕自身の政治学の知識は「デモクラシーの論じ方」を読んだ程度だけど。P31より。

A「それは、きみがデモクラシーというものを、もっぱら決定手続きとして理解しているからにすぎない。僕はむしろ、デモクラシーを発見の過程と見ているわけだ。さまざまな意見がぶつかり合う中で、新しいものが生まれる過程、それがデモクラシーだ。多数派は、少数派による異義申し立てに直面することで、それまでの自信を失い、うろたえ、考えを変えて行くことになる。君のいう「妥協」とは全く異なる。デモクラシーとは闘いだ。」

B「まあ、君がどういう風にデモクラシーを理解しようと勝手だが、僕はそう思わないね。デモクラシーは多数派を解体する過程などではない。それは、多数派をつくり出すものだ。「多数者の専制」は危険だが、だからといって、少数派をやりたい放題にすべきではないだろう。あくまでも、多数決を主軸として考えて行くべきだし、運動の論理よりも、制度化の側面を重視して行かなければ、混乱するばかりだ。」

デモクラシーを制度としてみるか過程としてみるかの根本的な対立。ここら辺に触れていないから、伊藤さんの議論は突飛な印象を与えてしまうのではないだろうか。

話し合うのがデモクラシーか。決める方法がデモクラシーか。伊藤さんの議論には話し合いの部分しか書かれていない。ネットを使って議論するのはいいけど、「どうやって政策を決めて実行に移すの?」という疑問が残る。

_ [ネット] Yujim=マッキンゼー森さん

前に取り上げたblogの人はマッキンゼーの人。

_ [まんが] 秘密第2巻

清水玲子著、「秘密第2巻」を読んだ。まんがの可能性と限界。プロットをもっと凝ったものにすることもできたんだろうけど、敢えてしなかったのか、それともできなかったのか。人格、記憶をモチーフとして扱ってきた清水玲子氏の集大成ともいえる作品。

ところで「輝夜姫」はどうやって終らせるつもりなんだろう。

_ [ネット] Emergent Democracy

うーん、曖昧な書き方をしたために荒川さんに誤解されてしまった。

アレ検出語」は上原子さんが(たぶん)冗談でリストされているものです。扱う上で注意を要する単語集です。ぶっちゃけて言えばトンデモを判別するための用語集です。この言葉自体が非論理的なのではありません。非論理的な文章の中でよく用いられているという意味です。安易にリンクしてしまって誤解を招いたようです。

それと、「政治学の知識を参照する必要がある」の省略された主語は「読み手」ではなくて「伊藤さん」です。

上で書いた文章を曖昧でなくストレートに書くと以下のようになります。

『「創発」、「自己組織化」、「複雑系」、「システム」みたいな危うい土台の上で議論をするのではなくて、政治学みたいなかっちりした土台の上で議論をするべきじゃないのだろうか。というかして下さい。頼みます。ネット上のデモクラシーに関する議論が「複雑系」の方面へ行ってしまうことを僕はとても危惧します。』

『で、デモクラシー云々いうなら制度(選挙制度、議会制度、住民投票 etc)の話を抜きに語ることはできないんじゃないの。もちろん議論することもデモクラシーの一部だけどさ。そして制度の話をしようとするならそれは政治学の範囲だよな。でも僕も政治学はほとんど知らないなあ。適当なことは言えないから、知っている範囲で引用しよう。読んだことのある本は「デモクラシーの論じ方」くらいしかないなあ。』

伊藤さんの論文を批評する意図はありません。が『いやまあ確かにネット上でのblogやWikiや何やかんやがデモクラシーとして成熟する可能性はないこともないだろう。けど、論文の書き方がまずいんじゃないの。議論の向う方向はまずい気がする。』というのが僕の感想です。


2003-06-24

_ [アニメ] 脚本家宮崎晃氏

名作劇場の「愛の若草物語」や「南の虹のルーシー」、ムーミンの中の人がコナンでキャラクターデザインが名倉靖博氏の方のムーミンアニメ「楽しいムーミン一家」。これらの作品の脚本を担当した宮崎晃氏は「男はつらいよ」の脚本も手掛けていた。知らなかった。

「愛の若草物語」、「楽しいムーミン一家」は両方とも僕の大好きなアニメです。特に脚本が素晴らしいのだけど、同じ方が書かれていたとは。脚本家に注意してアニメを見るようにしよう。

「愛の若草物語」はテレビ大阪で再放送中。何度見てもおもしろい。

_ [ネット]

ローカルにサーバをたててそれと連動するようなブックマークレットを考えれば、使いみちが広がると思う。とりあえずデバッグの仕方を考えよう。

_ [経済] 日本銀行の武藤副総裁講演

デフレの克服は、経済の健全な発展を実現することによって、達成されなければならないということです。

逆だろう。デフレと同時に経済の健全な発展など実現できない。理論的にも歴史的にも明らか。

結局、インフレ・ターゲティングが、本来の狙いである金融政策の透明性の向上や、人々の期待の安定化に寄与するかどうかは、インフレ目標がどの程度クレディブルなものか、すなわち、インフレ目標を実現するための手段やメカニズムの裏付けがどの程度確保されているのかに、大きく依存するように思います。

先ほど申し上げたような、現在の金融政策運営を取り巻く二重、三重の制約といったことを踏まえれば、少なくとも現段階において、そうした裏付けはやはり十分とは言い難いように思います。

(snip)

日本銀行としても、インフレ・ターゲティングは、金融政策の対応余地やその波及メカニズムが確保された段階では、そうした重要な道具立ての一つとなり得るもの

中央銀行は必ずインフレを起こすことができる。バーナンキの背理法。これは波及経路の毀損などによる制約を受けない。そして必ず達成可能な目標を達成しますと宣言すれば、人々の期待に働きかけることができる。できるかどうか分からない目標なんじゃない。やる気があれば必ずインフレは達成できる。

デフレが原因で不良債権が増加している現実(PDF)を見れば、不良債権の処理が終るまでインフレ目標を導入しないということは、永久にインフレ目標を導入しないと宣言するのと同じことだ。

武藤副総裁の発言は単に「インフレ目標はやりたくない」と宣言しているに過ぎない。そして、それはデフレが継続する期待を生み出し、日本経済の不況をさらに長引かせることになる。

_ [本] イノベーションのジレンマ

本の画像イノベーションのジレンマ」を読んだ。おもしろい。まあみんながみんな経営者になるわけじゃないんだけど、ベンチャーでひと儲けを企んでいる人は必読。

著者はイノベーションを持続的イノベーションと破壊的イノベーションの二つに分類する。持続的イノベーションとは持続的な性能の向上をもたらすような技術革新のことである。例えば、ハードディスクドライブの薄膜ヘッド、薄膜ディスクなどは非常に複雑で実用化には莫大な投資と高い技術力が必要だったが、基本的にはハードディスクの性能を連続的に向上させる技術である。つまり、持続的イノベーションである。

逆に14インチハードディスクドライブが主流だったときに登場した8インチドライブは破壊的イノベーションの代表例である。当時の8インチドライブは14インチドライブに比べて性能は低く、従来の市場であるメインフレーム市場では使いものにならないものだった。取り柄といえばその小ささだけだった。このように性能では現在の主流製品に劣るが、現在の評価基準とは全く別の点で優れている製品を破壊的イノベーションと呼ぶ。

従来の市場で実績ある企業は持続的イノベーションに対しては非常にうまく対応する。しかしながら破壊的イノベーションに対しては全く対応することができない。事実、ディスクドライブ業界の歴史において導入された新技術116種類のうち持続的イノベーションに属するものは111種類。このすべてにおいて従来の技術で業界をリードしていた企業が成功を収めた。

しかし、残る5種類の破壊的イノベーション(14インチから8インチへの移行、8インチから5インチへの移行…)のすべてにおいて業界をリードしていた企業は移行に失敗している。

これはなぜか。それは逆接的ではあるが、業界をリードしていた企業の経営者が非常に優秀だったからだ。

_ [サッカー] おめでとう、トルシエ

トルシエ前日本代表監督のカタールの監督兼テクニカルディレクターの就任を祝って「6月の勝利の歌を忘れない」を借りてきた。

人はこれを現実逃避と呼ぶ。


2003-06-25

_ [経済] 昭和恐慌をめぐる経済政策と政策思想:金解禁論争を中心として

経済学者たちの闘い」の著者若田部昌澄氏による、昭和恐慌に関する論文。政策論争史。コンパクトにまとまっている。

ESRIにはこの他にも色々ある。


2003-06-28

_ [ゲーム] うさだ

オンラインゲームに関する考察。

オンラインゲームは時間当たりに得られる快楽が少ないからやらない。作業が面倒くさい。ゲームの中でまで人付きあいをしなくてはいけないのも嫌。

どうぶつの森e+は写真とデータを自分のサイトで公開することは禁止。ああ、全然分かってない。みんなに見せびらかしてこその「どうぶつの森」だろうが。許可して下さい。お願いします。買う気ちょっとダウン。

ドリルランド。ドルアーガレベル3をクリア。クリア時間50分って、パズルゲームのプレイ時間じゃないな。長過ぎ。ゲームデザインを間違ってないか。おもしろいけど。

_ [その他] タモリさん

t.A.T.uバックれ事件の Mステでのタモさんのトーク。さすが生放送には日本一強い。

水道橋博士の日記、5月15日 木曜日にタモリさん登場。


2003-06-29

_ [その他] 【宝塚記念】驚愕!ミラクル単勝1200万円買い

 その中年男性が東京・港区のウインズ新橋に姿を見せたのは、28日午前10時55分ごろ。高額払い戻し窓口に安田記念の的中馬券を差し出すと、計算機の金額表示は1222万円余。すると、男性は大金に直接手を触れず、「(10)番ヒシミラクルの単勝を全部買ってくれ」と売り場の女性に伝えた。昨年の菊花賞を10番人気、今春の天皇賞を7番人気と、低評価でGI2勝した芦毛の4歳馬だ。

結果

タイムマシンはひそかに発明されていたんだね。

sawadaspecial.comより。Weekly Teinou 蜂 Woman摸倣犯。2ちゃんねるのスレ。おっさんのあだ名は「ビフ」に決定の模様。ヒシミラクルに大金ぶち込んだ奴出て来い!!はちょっとおもしろい。

_ [映画] 愛しのローズマリー

借りてきて「愛しのローズマリー」を見た。いつものように能天気に「おもしろかった」とは書いてはいけないような気もするが、能天気にいつものように書いておこう。

おもしろかった。

_ [映画] 六月の勝利の歌を忘れない

六月の勝利の歌を忘れない」を借りてきてみた。この日本代表はもう二度と見ることができないのかと思うとちょっと哀しい。


2003-06-30

_ [経済] 重要な「期待」の変化(PDF)

CSFB証券の安達氏の論説。人々の「デフレ期待」に働きかけてデフレからインフレに期待を反転させるようなような政策が必要という話。

例えばアメリカでの大恐慌からの回復は投資が消費に先行するかたちで始まった。これは実際の需要が消費の回復により高まる前に、レジーム(政策体制)の変更によって人々のデフレ期待がインフレ期待へと変化し、それにより投資が呼び戻されたことを意味する。

と大筋では同意なんだけど、記事中に出てくるグラフに関して。 OECDのデータをもとに各国の過去10年間の GDPギャップと GDPデフレーターの平均をプロットしている。安達氏は GDPギャップに比べて日本の GDPデフレーターが低すぎると指摘している。けれど、これって単に OECDの日本のGDPギャップ推定が低い方にバイアスが掛かっているからじゃないのかな。クルーグマンの議論を参照。オークンの法則でだいたい日本の潜在実質GDP成長率は 3.5%〜4.0%として、過去の実質成長率はだいたい 1%くらいだから、GDPギャップは2.5%〜3.0%となって日本は左下に位置することになる。これはOECD各国のトレンドと一致する。

_ [経済] なぜアルゼンチンは停滞し、チリは再生したのか

1910年当時アルゼンチンの一人当たりの GDPはイギリスの8割、ドイツのそれを上回っていた。またその後の成長率も1975年まではイギリスとほとんど同じだった。つまりはアルゼンチンの所得は現在ヨーロッパ並みの水準に達していてもおかしくなかった。逆にチリの所得は1910年当時はアルゼンチンよりも50%以上下回っていたが、現在ではアルゼンチンを上回っている。

この二つの南米の国に一体何が起こったのだろうかという原田氏と黒田氏の論文。

論文では以下のように結論づけている。

アルゼンチン経済は高インフレにより固定相場制を導入。固定相場制にともなう通貨危機。そして元来の介入主義的な経済政策(ペロニズム)により停滞した。

チリの経済はピノチェト政権下での市場経済の追求により高い成長率を実現した。しかしその道のりは平坦なものではなかった。段階的な市場経済への移行。ピノチェトの長期独裁政権の崩壊という政治的な激動の中でもこの高成長は維持されていた。

あとチリはアルゼンチンと同じように高インフレを経験している。現在では為替のペッグ制とインフレ目標政策を導入することでハイパーインフレーションを防いでいるとのこと。インフレ目標政策を採用してもハイパーインフレーションにはならないようだ。

_ [経済] 多くの国々における社会主義

だいぶ前の話題だけど、ヒトラーの経済学に関して。

まず大恐慌の原因から理解する必要がある。大恐慌の原因は各国政府の金本位制への固執であったことは多くの経済学者のコンセンサスを得られている。ピーター・テミン著「大恐慌からの教訓」を参照。金本位制のもとで大量の金を保有していた輸出国アメリカが消極的な金融政策をとったため世界的な金融の引き締めをもたらした。各国政府の金本位制への固執はさらなる金融の引き締めとデフレ期待と恐慌をもたらした。大恐慌からの回復はまずは金本位制からの離脱からはじめなくてはならない。

大恐慌からの教訓」によれば、1933年1月にヒトラーが首相に任命された。『ナチスはただちにその権力の強化と民主主義の破壊に着手した。』これは人々の予想に変化をもたらした。『新たな政府支出の増加が、その効果を十分発揮するまでに時間がかかったにちがいない』。だが1933年の雇用は急速に回復している。人々の予想の変化の結果である。

『組織的な労働組合つぶしは、低賃金と雇用の急速な回復につながった。』

国家社会主義的な経済の統制を強めた。『賃金が国民所得に占める割合は、1932年から1938年の間に64%から57%に減少した。賃労働者に対する税金が高かったために、同じ6年間における消費の国民所得に占める割合は83%から59%にも減少』(p153)

『その一方で、この期間の投資と政府支出の総額は、国民所得の18%から41%に増加した。これはソビエトの第一次5ヶ年計画に匹敵するほどの算出構成の変化である』(p153)

『最初のうちは、政府支出が軍事支出を意味するわけではなかった。住宅、道路建設、自動車工業が景気拡大の重要な源泉であった。』(p155)

『回復が十分軌道に乗っていた1936年を過ぎて初めて、ナチスは戦争準備に取り掛かった。』(p155)

一応強調しておきますが、恐慌からの回復は国家社会主義的な手法だけではありません。金本位制からの離脱と、拡張的な金融政策、それと連動した財政政策によって経済の回復は達成可能です。

さて問題はヒトラーの前任の首相たちを含めなぜ各国政府は金本位制に固執したのだろうかということ。もし経済の回復を達成できていれば、ナチスの台頭を未然に防げたかも知れない。なによりも自身が首相の座を追われることはなかったはずだ。

ノーベル経済学者のマンデルは次のように言い切っている。(黒木さんの掲示板より)

Had the price of gold been raised in the late 1920's, or, alternatively, had the major central banks pursued policies of price stability instead of adhering to the gold standard, there would have been no Great Depression, no Nazi revolution and no World War II.

金本位制が大恐慌の原因というなら次の疑問が自然とでてくる。なぜ彼らは揃いも揃って金本位制に固執したのだろうか。自身の政治基盤を危うくしてまで。というわけで、Temin氏と Eichengreen氏のThe Gold Standard and the Great Depressionを読んでみようかな。

_ [アニメ][まんが] 「まっすぐにいこう。」、アニメ化

少女まんがのアニメ化は結構難しいけど、どうなるんでしょう。


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