前の図は統計の使い方を間違っている気がしたのでやり直した。ひどいことには変わりないけど。
11月の速報値が81.5なのでここ最近3,4ヶ月は年率-7%くらいで推移しているのではないかとざっくり予想。
完全失業率は「来年度の初め頃2010年4月ごろには6.5%から7.5%」らしいです。前に書いたGDPデフレーターと失業率の相関図からGDPデフレーターは-3%から-4%と予想されます。んで、消費者物価指数はだいたいこれに1足したくらいなので-2%から-3%と予想されます。これは金融市場が予想するインフレ率(消費者物価)と大体一致しています。
そして金融市場のデフレ予想は今後10年の平均の話ですから、市場はこの不況が今後10年くらい続くことを予想しています。日本だけが本当に大恐慌に突入しそうな勢いです。
ちなみに米国に関しては金融市場のデフレ予想は徐々に弱まっています。まだ予断は許しませんが。
変動金利でない債券の保有者はインフレ時には損をします。なので、上のような国債を有権者に向けて発行してしまうと、インフレを起こすことが政治的にますます不可能になってしまいます。与謝野さんはつくづく自民党政権のガンですね。
こうなってくると高橋教授だけが頼りです。
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20090201
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20090201%23p1
経済学を勉強しても個人の経済状況が改善される確率はほとんどゼロです。なので、多くの人が経済学を知らなくても不思議ではないし、それは合理的なことです。
にしても今さら「くたばれGNP」みたいな議論が展開されるとは思ってもみませんでした。朝日新聞というか、そもそも新聞記事というのはやっぱり庶民の代弁者なんですね(新聞記事に書いてあるからみなが信じるのではなく、みなが信じているようなことが新聞記事に書かれる。だって記者もみなが信じているのと同じことを信じている確率が高いから)。
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20060403#p2 も参照。
「時空を超えてあなたは一体何度ーーー我々の前に立ちはだかってくるというのだ!! 笠信太郎!!!」みたいな。
すごく面白く読めました。タイトルはふざけていますが、多くの専門家にちゃんと取材して書かれた本です。西成活裕『渋滞学』よりももっと幅広い話題を取り上げています(そしてはるかに面白い)。
にしても、向こうのライターさんの、本来だったら堅い話題を、単に分かりやすく書くだけではなくて、読み物として面白いものに仕上げるテクニックにはいつも感心させられます。たとえば以下のような文章(セクションの導入部)にそれが表れています。
ロサンゼルスの全能の神
「遅れてすまない。渋滞がひどくて」。ロサンゼルスでは、「調子はどう?」と同じくらいありふれた挨拶だ。ときには、住民の半分が、残り半分の住民の到着を待っているようでもある。
だが、どうしても遅刻できない夜がある。世界が、少なくともその数億人の住民が、全員にちゃんと一堂に会してほしいと願う夜。そう、オスカーの晩だ。八〇〇台かそこらのリムジンが、スターたちを乗せて、ハリウッド大通りとハイランド通りの交差点に建つコダック・シアターへと運ぶ。赤いカーペットを踏みしめて歩くスターたちに、記者が質問を投げかける。「どんな気分です?」「その服は誰のデザイン?」。だがこのオスカーの夜、誰ももっと大きな謎を問いかけようとはしない。ロサンゼルスの渋滞の中、いったいどうやって八〇〇台のリムジンが定刻に集えるのか?
『となりの車線はなぜスイスイ進むのか?』p167
読者の興味を引き起こす、導入の文章としては最高ですね。
某氏の予測よりなお悪い数字が出ました。これで来年のはじめには、完全失業率が戦後最悪の6%に到達することが、ほぼ確実になりました。
2008年度の実質GDP成長率は12月の政府見通しの-0.8%はもちろんのこと、日銀の1月の予想-1.8%をも下回りそうです。事態は当局の予想を上回るスピードで悪化しています。なので現在の景気対策ではぜんぜん足りません。
M17N によってできる1.8と1.9の溝はすごく大きいように思います。1.9用に書いたものを1.8で動かすのは単純にあきらめたほうがよいのではないかと。1.8で動かすためにString#encodeを独自で定義するみたいな悪習が広まることを懸念しています。
2006年から2007年にかけて(100円/ドルから120円/ドル)は、1980年(250円/ドル)と同じくらいの円安だったという議論に反論されています。とても面白いです。しかし、「生産性による実質化」を理解することは難しいかもしれないので、これを別の側面から説明してみます。
次の表はアメリカの製造業の労働者の生産性と時給です。時給には給料だけでなく企業が負担する社会保障費用も含まれます。
アメリカの製造業 | ||
労働生産性(1時間当たり、1980年=100) | 時給(ドル、1980年=100) | |
1980年 | 100 | 100 |
2007年 | 295 | 317 |
これを見ると2007年の彼らは1時間当たり1980年の3倍のものを製造できるようになっており、それに応じて約3倍の給料をもらっていることが分かります。日本はどうでしょう。
日本の製造業 | ||
労働生産性(1時間当たり、1980年=100) | 時給(円、1980年=100) | |
1980年 | 100 | 100 |
2007年 | 267 | 196 |
日本の製造業の2007年の労働者は1980年の約2.7倍のものを製造できるようになっているのに、給料は2倍にしかなっていません。ここで「搾取だ」と叫ぶ前に次の表を見てください。
日本の製造業 | ||
労働生産性(1時間当たり、1980年=100) | 時給(ドル、1980年=100) | |
1980年 | 100 | 100 |
2007年 | 267 | 376 |
しかし日本の製造業の時給をドルで換算すると、なんと時給は3.8倍にもなっています。生産性は約2.7倍にしかなっていないのに。これは1980年に比べて円がものすごく高くなったことが原因です。日本の製造業の労働者に「あなたの給料はドルベースで考えるとすごく高くなっています」と言っても何の慰めにもなりません。が、これがコストとしてのしかかる輸出企業にとっては非常に深刻です。
ドルベースの時給の伸びを労働生産性の伸びと同じくらいにするためには、時給をさらに3割カットするか、円を3割減価するしかありません。それが実現できるレートは140円/ドルです。これらの数字を見ても、2007年が1980年と同じくらいの円安だったというのは嘘だということが分かります。
参照元: 米労働省労働統計局 http://www.bls.gov/fls/#PROD
Econbrowser が The oil shock and recession of 2008、Part 2 などで次のような議論をしています。
FRBが急激に利下げ(2007年終りから2008年始め) ↓ 原油高 ↓ 消費、特に車の売り上げが減少 ↓ より景気悪化
急に利下げをしすぎると、景気が悪化する場合があるという内容です。設定によってはありえなくはないですが、現実に起こったんですかねえ。
理屈としては以下のようになります。たぶん。原油の生産を絞るのも、ビルを建てるのも同じ投資です。なので、利下げによって原油の生産量は減少し、設備投資は増加します。が、原油の生産を絞るほうがすぐにできるので、原油高の方が設備投資よりも先に実現されてしまって、結果一時的に消費が減少してしまいます。急激な利下げはこの谷間をより深くしてしまう。みたいな。
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