新型インフルエンザの危険性を考えたかったら、致死率だけを見るんじゃなくて、致死率と感染性を見なくちゃいけないというのは当たり前だと思うのだけど。致死率にしか言及しない人が多いね。
感染性は季節性のインフルエンザよりも着実に高く、過去に起こったインフルエンザパンデミックにおけるR0の低い方の推計値とは相応なものである
(中略)
重篤性については、軽症例や不顕性感染例など相当なことが不確実のままであり、この論文後も新たなデータも利用可能になり、今後も継続的な評価が必要であるが、本論文では、臨床的な重篤さは1918年スペイン型インフルエンザに見られたものよりも軽く、1957年アジア型インフルエンザに見られたものと同程度と考えられると結論されている。
新型インフルエンザのウソとホント経由で知った論文へのコメントで、以下のような文章があってちょっと笑った。
In Japan, the cultural belief in the effectiveness of the surgical facemask is strong, and non-compliance with study protocol, even among evidence- based-medicine-minded healthcare providers, is a serious threat to data integrity and study validity. In the United States, the cultural resistance to masking the faces of our healthcare providers is strong, again posing treatment arm non-compliance as a potentially crippling threat to the study design.
医療従事者のマスク着用の有効性を、マスクを付ける付けないの2群に分けた実地試験によって確かめようとしても、日本の医療ではマスクの有効性が強く信じられているのでマスクを付けないほうに割り振られた人たちもマスクを付けちゃって実験にならないし、アメリカはアメリカで文化的にアメリカの医療従事者はマスクを付けたがらないのでやっぱりちゃんと実験できない、と書いている。
それはそれとして、新型インフルエンザ一人の感染者からその感染性を有する期間全体で感染させる平均的な人数(R0)は 1.6 人です。1より大きいので指数関数的に感染者が増えていきます。で、マスクをしたときのオッズ比が 0.35 です。たいして効果ある数字には見えないかもしれませんが、もし日本国民全員がマスクをすると、単純計算では R0 が 1.6 人から0.5〜0.6人になるわけで、感染者は指数関数的に減少していきます。どこか計算間違っているかな?
日本は不織布マスクに関して、膨大な数の家庭内在庫と流通在庫が存在する世界的に見て稀有な国なわけで、現在の日本はマスクの有効性に関する超大規模な疫学実験をやっているのと同じことになりますね。通常の年と今年の季節性インフルエンザの感染者数を比較することによって、マスクの有効性を調べることができる気がします。
というか、花粉症のためマスクをしている人とそうでない人で季節性インフルエンザの感染率を比べるみたいな研究ってないんですかね。
あと「季節性インフルエンザ対策に関してアメリカ政府(CDC)はワクチンに重きを置きすぎていて、マスク、手洗い、うがいの重要性を軽視している」というコメントが上の論文に対するコメントとして投稿されています。
3万5千円でこれはいいと思ったけど、3万5千円出すとDellのInspironが買えちゃうということを思い出して、一気に冷めた。でも買うかも。
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