クルーグマンに突っ込むならこっちのほうだと思う。
So far the Obama administration’s response to the economic crisis is all too reminiscent of Japan in the 1990s: a fiscal expansion large enough to avert the worst, but not enough to kick-start recovery; support for the banking system, but a reluctance to force banks to face up to their losses. It’s early days yet, but we’re falling behind the curve.
http://www.nytimes.com/2009/02/13/opinion/13krugman.html?_r=1
「not enough to kick-start recovery」、まるで1990年代に十分大きな財政政策を日本がしていれば、経済は復活することができたみたいに言っていますが。
oh, wait
流動性の罠の下で超過準備に付利がされている場合の信用創造に関して少しおもしろいことに気付きました。これは、金融の本にも書いてなくて、海外のブログでも触れられていないので、ここで説明してみます。
名目利子率がプラスのときの、教科書に書いてあるような信用創造は乱暴に書くと以下のようなものです。
中央銀行がお金を刷って国債を民間人から買う ↓ 民間人の銀行口座にお金が振り込まれる ↓ その口座がある銀行は振り込まれたお金を他の民間人に貸す ↓ 別の民間人の銀行口座にお金が振り込まれる ↓ 以下同じ
という感じで、最終的には最初に中央銀行が刷った金額よりも多くの金額が民間人の預金通帳に書き込まれることになります。これが信用創造です。上の説明だと無限にループが続きそうですが、現実では準備率などでちゃんと制御されています。
さて現在のように流動性の罠の下で、超過準備に付利がされている場合には上のような信用創造は働きません。代わりに以下のような少し変わった信用創造が働きます。ちなみに民間の銀行が中央銀行に余計に預けているお金のことを超過準備といいます。現在では銀行は中央銀行にお金を預けると利子がもらえているわけです(日米両方とも)。
中央銀行がお金を刷って国債を民間人から買う ↓ 民間人の銀行口座にお金が振り込まれる ↓ その口座がある銀行は、振り込まれたお金を他の民間人に貸さずに、中央銀行に預ける ↓ 預かったお金で中央銀行は国債を民間人から買う ↓ 民間人の銀行口座にお金が振り込まれる ↓ 以下同じ
という感じで、最終的には最初に中央銀行が刷った金額よりも多くの金額が民間人の預金通帳に書き込まれます。これは通常時と同じなのですが、違うのは民間人への貸し出しは増えず、超過準備だけが増えていくことです。
重要なことは以下の2点です。
ひとつめは、マネタリーベースの定義(貨幣+所要準備+超過準備)がまったく意味を持たないということです。
ふたつめは、通常の場合よりも、流動性の罠+超過準備付利の場合のほうが最終的に民間人の預金通帳に書き込まれる金額が大きくなるということです。貨幣だけをマネタリーベースだと思ったときの、貨幣乗数が大きくなります。これは中央銀行自体には民間の銀行と違って準備率という制限がないので、預かったお金はすべて国債の購入にまわすことができるからです。
そしてこのふたつめの点は実際に観測されています。
最初このグラフを見たとき、金融危機のさなかに何で貨幣乗数があがっているのか分からなかったんだけど、上で説明したのような理屈があったんですね。
これって嘘ですよね。
http://www.amazon.co.jp/dp/B000WMDSH8/
http://www.amazon.co.jp/dp/B001O2U1UW/
http://www.amazon.co.jp/dp/B000UWRCDG/
kakaku.comの最安値だと価格差はもっと小さいけど、7〜8%くらい差はあります。同じCPRM対応でもビデオ用かそうでないかで、ちゃんと差があるようです。
名目金利を1%下げるのと同じ効果を現在実現しようとしたら、FRBは1兆から1.6兆ドルバランスシートを拡大しないといけない、というゴールドマンサックスの推計をクルーグマンが紹介しています。で、テイラールールから導かれる-6%を実現しようとしたら、6兆ドルから10兆ドルという規模でバランスシートを拡大しないといけなくて、現実的ではないといっています。
が、これはゴールドマンサックスのレポートが間違っています。昨日説明したように、現在 超過準備には利子がついているので、ほんのちょっとの金融緩和で多額の超過準備が積み上がるようになってしまっています。なので、この超過準備への付利をやめれば、-1%に1兆ドル必要とかいうことはなくなるはずです。
というか、1兆ドル刷っても1%しかインフレ率が上がらないのなら、ものすごい通貨発行益を得ることができるわけで、もし本当なら心配するんじゃなくて逆に喜ぶべきことなんじゃないのという気がします。
で、もういっこクルーグマン関連。このクルーグマンのモデルは、「流動性の罠の下では通常時より財政政策が効果的である」ということは言っていません。このモデルは、「財政支出した分だけ民間の支出が減る。財政支出は100%クラウディングアウトされる。」とかいうトンデモな議論を黙らせるために出してきたもので、ドマクロで言える以上のことは言っていません。It's baaack論文はドマクロからは導くことができないので、その点が違います。
以下の図の限界費用のジャンプも流動性の罠に陥っているから出てくるというわけではありません。このモデル設定では、いつでも限界費用はジャンプします。
このモデルでは、政府支出を1単位増やしても民間支出を1単位増やしたときほどには効用が増えない、という仮定を置いています。また、政府支出を増やしすぎ完全雇用を上回ると、民間支出をその分減らさなくてはいけなくなります。なので、ちょうど完全雇用のところで民間支出のクラウディングアウトが起こり始めて、そこで限界費用が上方にジャンプするのです。これには流動性の罠は関係ありません。
金融政策がファーストベストだけど、それが無理なら財政政策でもokと言っているだけに思えます。
誠実な回答。
ぱっと見は漫画家の若木民喜のファンのブログだけど、実は若木民喜本人のブログ。
良いです。
Moreover, to help improve conditions in private credit markets, the Committee decided to purchase up to $300 billion of longer-term Treasury securities over the next six months.
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20090318a.htm
MBSの買取の発表だけかと思っていたら。
需要が5%減少しただけで、原油価格は75%も下落した。これはおかしい。2008年始めの原油価格の上昇は投機が原因だったに違いない。
という議論は正しくないという話。
こういう基本的なところの仕様がまだ変わる可能性があるのか。うーん。他にもありそうで怖い。
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