去年読んだ中で一番驚いた論文、Earl Thompson「The Tulipmania: Fact or Artifact?」Public Choice, Vol. 130, Nos. 1-2, Jan 2007, pp. 99-114. の紹介(ちなみに Wikipedia 経由で知りました)。オランダで1636年の終わりから1637年の始めに起きたといわれているチューリップバブルは実は単なる歴史家の勘違いで、実際にはバブルは起きていなかったという説を Thompson 氏は唱えています。
まずは予備知識から。
始めに確認しておきたいのは、チューリップがどんなに高額で売買されていたとしても、それを指してバブルだとは言わないということ。ものの値段というのは供給と需要で決まります。チューリップは種ではなく球根から育てないといけなくて、大量生産が難しかった。またその当時高額で取り引きされていた花びらにきれいな斑が入ったチューリップは実はモザイクウィルスによる病気が原因でした。そのため同じ球根から育てたとしても同じ斑のチューリップができるとは限りませんでした。というわけで、供給は質、量ともに限られていました。需要に関しても、貿易で儲けた豪商たちが自分達の邸宅の庭をチューリップで彩ることに熱心でした。というわけで、1630年代においては供給と需要の両面からみてチューリップが高額で取り引きされてもおかしくなかったし、実際取り引きされていました。
そもそもチューリップバブルとは「1636年の終わりから1637年の始めに起きたチューリップの先物価格の異常な上昇と下落」のことを指します。異常な上昇をしたのは「先物価格」なんです。そして、先物価格が下落した後に何が起こったかというと、1636年11月から1637年2月までの売買契約は数%の違約金を払えば免除できるということになったんです。この「徳政令」のおかげでチューリップバブルで破産するような人はほとんどいませんでした。チューリップバブル以後もオランダの花卉産業は衰退することなく逆に国外への輸出を増やし、現在まで続く繁栄を謳歌しています。
予備知識はここまで。
さて、チューリップバブルが言われている程のイベントではないことがわかったとしても、それでも先物価格の変動の謎は残ります。この変動を Thompson 氏は驚くべき逆転の発想によって説明しています。それは以下のようなものです。
先物価格の上昇と下落が起こったから「徳政令」が出たのではなくて、「徳政令」が出ることを市場参加者が合理的に予測していたからそれを反映して先物価格の上昇と下落が起こったのである
Thompson 氏の説は簡単にまとめると以下のようになります。1636年10月、市場参加者が予想もしていなかったような事態が起きます。後に30年戦争と呼ばれる戦いにおいてフランスがドイツを打ち破ったのです。ドイツの王侯貴族はチューリップの大口需要者でした。それらの需要が突如なくなりチューリップ価格は暴落します。チューリップの先物契約に投資していた中には政治家も含まれており、彼らは自分達の損を回避するために「徳政令」を画策します。近いうちに出されるであろう「徳政令」により、市場で取引されているチューリップの先物は先物ではなく今でいう「コールオプション」になることを市場参加者たちは正しく予想し理解しました。これにより、「チューリップの先物価格」は将来の予想価格を表すものではなく、「数%の違約金」とつりあうような「コールオプションの行使価格」となり、それに見合うような値に急上昇しました。市場は常に合理的だったんだけど、後世の歴史家がチューリップの先物価格の意味がこの時期でだけ変わっていることに気づかなかったことが「チューリップバブル」という神話が生まれた原因なのです。
うーんじつに面白い。このストーリーを全面的に信じることはできないけど、話としては非常に面白いと僕は思います。
録画機能を重視したテレビとして、どんどんトンがっていくなあ。
気になった所。
録画時にフルセグだけでなく、ワンセグ番組もmicroSDカードに録画する「ワンセグ録画」機能を搭載。microSDカードを取り出して、Softbank 921Tなど「レグザケータイ」などにカードを入れて、ワンセグ番組を視聴できる。
なお、同社が正式サポートを謳う携帯電話は、auのW52T/W53T/W54T/W56T/W61Tとソフトバンクの912T/920T/921Tだが、SD-Video(ISDB-T Mobile Video Profile)形式で記録しているため、ワンセグ録画対応のSDスロット搭載ケータイの多くで視聴できる見込み。また、gigabeat V41/V81でもmicroSDに録画したワンセグ番組を視聴できる。
小寺さんが「リビングなどに置かれている据え置き型のレコーダーに“直接”携帯電話やiPodを接続できるようにしなくちゃいけなくなる」と言っていたのに反応して「この認識はあんまり正しくないと思います。例えば著作権保護機能付きの SD カードにコピーするような機能をレコーダーが搭載すれば、そのカードを携帯プレーヤーか携帯電話に挿入することで録画した番組を観賞可能です。レコーダーと直接繋ぐ必要はありません。」と書いたけど、それが現実になった。まさかレコーダーより先にテレビで実現されるとは想像してなかったけど。
ソニーのレコーダーがあいかわらずデジタル放送を自社製品にしか転送できない(アナログ放送なら他社のにも転送可能)のは、メモステ縛り&メモステのCPRMに対応したポータブルAV機器がPSPとウォークマンしかないから?でもソニエリの携帯はさすがに対応しているはずだし。なんでだろう。
「ウルトラ高感度の“ちょいテレ”が録画データのムーブに対応。録画した番組を対応したケータイやPSPで視聴可能」なんていうのもバッファローから出ていた。これもメモステを使うならPSPとPS3でしか再生できないみたい。
■追記。SD-Video に相当する規格がメモステにはないからかなあ。本当にないのかよくわからないけど。
■追記、その2。検索して調べたらメモステの動画の規格はあることはあるんだけど、混沌としていることがわかりました。
PSPで再生可能なビデオで注意しなければならないのは、以前にベガ(プラズマ、液晶、FDトリニトロン)の上位モデルやPDAのCLIE、ソニー・エリクソン製携帯電話でサポートされていたMobileMovie形式と互換性がないことだ。したがって、ベガやCLIEの周辺機器であるメモリースティックビデオレコーダー(PEGA-VR100K)で記録したデータをPSPで再生することはできない。
元麻布春男の週刊PCホットライン 「PSP」のビデオ再生機能を試す (2005.04.07)
記事の続きで互換性を犠牲にしてまでフォーマットを変えた理由を推測していたりして、わりと面白いです。
■追記、その3。BDZ-A70 の「おでかけ機能」自体もなんか混沌としている。
対応ビデオフォーマットは、ウォークマンがH.264/MPEG-4 AVCの「Base Line」、PSPはH.264/MPEG-4の「MainProfile」と、プロファイルがそれぞれの機種で異なっている。そのためPSPとウォークマンの両方に番組を転送しようと考えた場合には、番組録画時に出力先の機器について強く意識しなければならない。
デジタル放送を含む、全ての番組を転送して楽しめるのはPSPとウォークマンのA820シリーズのみになる。これまでのウォークマンA800シリーズはアナログ番組のみの転送になるので注意したい。携帯電話にもデジタル放送の転送はできない。
http://www.phileweb.com/magazine/av-navi/archives/2008/04/11.html
うーむ。ダビング10実施後、例えば兄弟がそれぞれ PSP とウォークマンを持っていて、同じ番組を持ち出したい場合には再エンコするしかないのか。
バッファロの外付けHDD HD-HS500U2 用に OP-FAN を買ってみた。ファンの電源を HDD から取るようになっている。HDD を PC 電源連動に設定して PC の電源を切ると、 HDD の回転が止まってもファンは回りつづけている。ファンは電源連動しない仕様なのかと最初思ったけど、30分くらいしてからファンも止まった。大分安全側に倒してあるようだ。
watch impress の記事も間違えて訂正を出している。
PDF をブラザーの HL-5280DW で印刷すると文字が網掛けで印刷される場合があって困っていたんだけど、「システムのハーフトーンを使う」という設定を有効にすると直った。
デジタル放送コピーワンス改善策「ダビング10」の運用開始が事実上延期に
どちらも個人的には関係ないんですが、どうなるんですかねえ。
それと、デジタルチューナーの値段ばかりが話題になるけど、チューナーよりも実はアンテナ工事費用の方が高い。みんな気がついていないのか。
チューナーはこれから安くなるだろうけど、アンテナ工事費用は値下がりしないだろうし。平均でどれくらいの費用がかかるかを総務省とかサンプル調査していないのかなあ。
大阪府の場合はアナログ放送でも生駒山に UHF 波を使うテレビ大阪の送信所があったおかげで、UHF アンテナが生駒山を向いている世帯が多いのです。だけど東京だと UHF アンテナが東京タワーを向いていることは大阪府より少ないみたいですねえ。
少し前に買った松下のデスクヒーターが発煙、発火の可能性ありということで回収交換になっている。交換した。持っている人は要確認。
使っているテレビ(REGZA Z3500)がアップデートで VOD サービスのアクトビラに対応したので、無料の動画を試しに見てみた。SD 画質でもそれなりに見られる。あとこれは REGZA だけかも知れないけど、SD 画質でもちゃんとアップスケールして画面一杯に表示される。nikkei trendy の記事にはできないと書いてあるけど、機種によって違うんだと思う(追記。「アクトビラ ビデオ フル」対応機種なら必ず全画面表示される)。テレビのスケーラーが良い所為か PC で同じバンダイチャンネルのコンテンツを見るよりきれい。ビットレートとコーデックを考慮に入れると当然の結果。HD 画質だと回線が ADSL なんでコマ落ちする。
見逃したり録画に失敗したアニメを見るのに使えると思ったら、バンダイチャンネルは全てのコンテンツを提供しているわけではないのか。
■追記。いま理解したけど「アクトビラ ビデオ フル」の「フル」は「フル HD」のことではなくて、「画面一杯に表示される」という意味での「フル」なのか。「アクトビラ ビデオ フル」で提供される作品は「画面一杯に表示される」のだけど、必ずしも HD 画質というわけではないようだ。素晴らしいネーミングセンスだ。というか、「画面一杯に表示せずに小さいサイズで動画を是非みたい」というニーズがあるとは思えないのだけど。画面の横に常に広告を表示したいというニーズが存在するのだろう。
以下のマークが表示されていれば解像度に関わらず「アクトビラ ビデオ フル」。
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