リクエストがあったので「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」の議事録を読んだ感想を書きます。
まず技術的な詳細に入り込み過ぎていると思います。放送局、権利者、メーカー、消費者があつまってデジタルテレビ放送のコピーコントロールの「落しどころ」を議論する委員会において、ARIBやDTCPの規約の詳細がどうなっているかなんて本来は必要ないはずです。それなのにそのよう規約の理解に時間のかなりの部分が割かれてしまっています。
また放送局と権利者は当初からEPNに強行に反対しています。同意するような気配を見せていません。EPN が採用される可能性は最初から無いように読めます。製品が現在進行形で発売され続け、早期に結論を出さないといけないという状況のなかで議論が続けられました。「ダビング10」以上のものは出てこないように思えます。これ以上は法律を変えることでしか達成できないんじゃないのと、僕は思います。
消費者代表の河村委員に対する小寺さんの評価は低いようですが、僕は河村委員は言うべきことはだいたい言っているように読めます。例えば、『EPN、コピーワンス、コピーネバーを取る必要があるなら、それを取る必要があると主張した主な著作権者を公表する』みたいなことは第6回(12/8)の委員会で河村委員も述べています。同様に『スタンダードディフィニションにダウンコンバートしながらDVDにコピーするのはとりあえずコピーフリーに』というような意見も河村委員は述べています。言っているだけで委員会の結論には盛り込まれていないわけですが。
委員会が「EPN を採用する」と結論を出して放送局がそれを拒否した場合、放送局に EPN を強制することは法律を変えない限り無理です。そしてこの委員会は法律の改正までは視野に入れていないわけで。
あと詳しく調べてないんですが、アメリカの地上デジタル放送事情も委員会では取り上げられていて、椎名氏の述べていることもそれの受け売りなんですが、どうもこの現状認識に違和感を感じます。例えば DMCA の 1201条(k)(2) がデジタル放送にも適用されると安江オブザーバー第5回(11/27)で言っているんですが、僕が Google で検索して調べた限りでは、これは間違っていてアナログ放送にしかこの条文は適用されないようなんです。
ちゃんと何かを言おうとすると調べるのに時間がかかることばかりなので、印象論になってしまっていることは否めませんが、こんな感じです。
「ダビング10」以上を望むならフランスみたいな法律に変えるしかないというのが僕の結論です。委員会の資料(PDF)によると、フランスでは無料のテレビ放送にコピーコントロールを掛けることを法律で明示的に禁じているそうです。
最近のコメント