大人気だ。
http://d.hatena.ne.jp/walkinglint/20040828#p19
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2004/08/post_31.html
青春だねえ。
レッシグ『Free Culture』を読んでいる。以下のよう箇所があった。
なぜこの同人誌文化による「フリーな利用」をブロックしようという広範な動きが起きないんだろう。私は日本で四ヵ月のすばらしい時を過ごし、その間に誰にでもこの質問をしてまわった。結局のところ一番いい説明をしてくれたのは、日本の大手法律事務所に勤める友人だった。ある午後、かれはこう語った。「日本には弁護士が十分にいないんですよ。こんな事件を訴追するだけの余裕がないだけです。」
P42
「弁護士の料金が高いから」というのは理由になっているようでなっていないことが多い。前に書いた「なぜアメリカは訴訟社会で、日本はそうでないか」を参照。
日本の弁護士は供給を制限されている。かつ、弁護士法により弁護士以外が法サービスを提供することを禁止されている。これは一種のカルテルと見なすことが出来る。しかし、企業は弁護士資格は持っていないけど法サービスを提供できるくらい法に詳しい人を雇うことはできる。そうして企業は独占価格でない市場価格で法サービスをある程度受けることができる。以上がマーク・ラムザイヤーが『法と経済学』の中で行っている議論。
さて弁護士費用よりも同人誌を訴えることによって得られる利益の方に注目しよう。著作権者が同人誌を訴えて勝訴すると損害賠償を受け取れて、同人活動を禁止することが出来る。著者と出版社が同人活動を訴えないのは、同人誌制作者を訴えることによって得られる利益が訴訟を起こしたくなるほどには多くないからだと考えられる。
同人活動の損害賠償の算定がどうなるかはよくわからない。ので損害賠償の利益はひとまず置いておく―多分そんなに高くはならないと思う。同人活動を禁止することによって著作権者が得られる利益だけを考える。同人誌がオリジナルの著作物の売上を損ねることがあるとは思えない。同人誌は違法コピーじゃないわけだし。また、同人誌はもとの著作物からライセンスを受けた商品―ノートとか、鉛筆とか、目薬とか―とも競合しない。同人誌を禁止することによって得られる利益はまあほとんどないだろう。
というわけで、同人誌を訴えないのはコストが高いからじゃなくて、訴えることによって得られる利益が少ないからだと僕は考える。
話はここで終らない。
ということは、訴えることによって得られる利益が多くなれば同人活動に対する訴訟も増えるはずだ。それはどんな場合だろうか。とりあえず思いつくのは、「キャラクター使用に関する正式なライセンスを同人活動に対して与える仕組みが出来た場合」だ。現在のところ同人活動に対して正式なライセンスを与える仕組みはほとんどない(ワンフェスぐらい?)。
もしそのような仕組みが出来た場合、ライセンスを受けない同人活動を訴えることによって得られる利益は現在よりも増える。多くの同人活動にライセンスを受けさせれば、それだけ収益が増えるからだ。またライセンスを与えることが出来ないような内容の同人活動に対しても訴訟を行うようになるだろう。ライセンスを受けられるような内容の同人活動を行えという裏の意味をこめて。
つまり、ライセンスを提供する仕組みが出来ると、それを利用させるために訴訟を起こすインセンティブが著作権者および著作権等管理事業者に発生する。そう JASRAC のように。
スゴすぎる。Posner 判事は「法と経済学」のチョー偉い人。学者から判事になった。
こうした著作権の濫用にはどう対処すべきだろうか。ひとつの可能性として、わたしがWIREdata事件への判決文pp. 11-12で仮説として提案したのは、著作権の誇大な主張を著作権の悪用(ミスユース)とみなし、権利の失効を招くとすることだ。詳細な議論についてはKathryn Judgeによる興味深い論文を参照されたい。
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