脳ざらし紀行


2007-01-03

_ 統計の間違った使い方

いしなお!経由で、自転車活用推進研究会のパンフレットを読んだ。

我が国の自転車乗用中死者数は、全交通事故死者数の 13.9% (30日以内死亡・2005年)に達しています。 これは原則として自転車の歩道通行を認めていない米国(1.7%)、フランス(3.2%)、英国(4.0%)、イタリア(5.3%)、 ドイツ(8.1%)などと比べて突出しています。

と書かれていた。でも、この統計を、日本の道路が自転車にとって危険なものだ、と言うために使うのは間違っている。単に日本では自転車に乗っている人が多いから、交通事故のうちに自転車が占める割合が大きいだけかもしれない。

というわけで、Google で検索してみた。

交通事故死数の国際比較によれば、交通事故死数に占める自転車の割合は、オランダでは日本を上回る 19% に達している。けど、これはオランダの道路が自転車にとって危険だということを意味しない。同じページに書いてあるとおり、

自転車死亡率はオランダで特に高いが、これは、自転車が主要な交通手段となっているからだと考えられる

わけ。主要国の外出時交通手段を参照。

日本の道路が自転車にとって危険かどうかは、「走行距離当たりの事故発生率」を調べないといけない。検索してみたけど、日本では走行距離当たりの事故発生率は自動車のものしか見つからなかった。

日本語以外で検索してみると、「Making Walking and Cycling Safer: Lessons from Europe」という論文が見つかった。これは米国の道路が自転車と歩行者にとっていかに危険かということを、ヨーロッパと比較して検討している。これによると、米国では走行距離当たりの自転車死亡事故発生率が、オランダやドイツに比べて4倍高いそうだ(下のグラフ)。

にもかかわらず、全交通事故死者数中の自転車乗用中死者数の割合はオランダよりもアメリカの方が低い。このことからも、全交通事故死者数中の自転車乗用中死者数の割合を、その国の道路が自転車にとって安全かどうかをみる指標として使うのは間違っていることが分かる。

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