脳ざらし紀行


2005-01-05

_ うつ病の治療

うつ病は伝統的な立場では発病状況と病前性格と症状のパターンと臨床経過から診断される(発病状況論)。最近は操作的診断基準(DSM-IVあるいはICD-10)にあてはまるものが「うつ病性障害」であるとされている。

 次に、精神科医が診断をする目的について。診断は、1)自然経過の予測、2)特定の治療への反応性の予測のために行われる(そして「診断名を与えること」は一部の患者にとって明らかに治療的である)。言い換えると、自然経過と特定の治療への反応性を的確に予測できるなら、その疾患概念は優れている。うつ病はいずれも予測しやすく(例:高い自殺既遂率)、さらに、薬物治療がある程度確立しているので診断的な意義が高い。

http://d.hatena.ne.jp/hotsuma/20041228#p2

「操作的診断基準」が「自然経過を的確に予測できる」かどうかは、診断基準と予測される自然経過が明確なものなら統計的に検定可能だろう。また診断基準などが明確であるかどうかも複数の医師に同じ患者を診断させるなどして検定可能だろう。

またある薬物がうつ病に対して効くかどうかも、実際に投与するグループと偽薬を投与するグループを用意して二重盲検法(患者だけでなく医師にも偽薬かどうかを教えない)を実施して、その経過を比べれば薬の有効性は統計的に検定可能だろう。

というわけで、診断基準や薬物の有効性が統計的に検定できるわけだから、筋の良いフレームワークだなあと素人ながらに思う。後は本当にちゃんとデータを集めて検定を行っているかという実際的な問題と、そもそも その病気を直すことが〈良いこと〉なのかという価値判断の問題になるのかな。

どうでもいいけど Google でDSM-IVを検索すると風野さんの「私家版・精神医学用語辞典 DSM-IV」がヒットするのか。

_ 対照群の有無が不明な報道

大豆イソフラボンが骨粗鬆症に効くかどうかは、偽薬を与えるグループをちゃんと用意して実験しないと分からないという話。

うつ病の薬の有効性は大豆イソフラボンが骨粗鬆症に効くかどうかと同じ枠組で考えることが出来る。

_ [本] 隣家全焼

本の画像ナンシー関・町山広美著『隣家全焼』、読了。全然おもしろくない。

どうでもいいけど、町山広美氏と町山智浩氏は兄妹らしい。本に出てくるわけじゃないけど。

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