すぐに思いつくのは、球団を補完性の強い財を生産している企業として考えるというアイディア。球団は相手がいないことには試合および勝利という製品を生産することが出来ない。さらに試合数が限定されているとか、試合以外を生産できないとか色々付け加えればいいのかな。
でもこのモデルはちょっと複雑すぎるかも知れない。
もっと単純に、プロ野球をオークションだと考える。順位をオークションによって手に入れているとする。高い値段をオファーした球団ほど順位が高くなる。ただし、順位の価値は球団によって異なるとする。1位になるとすごく儲かる球団もあれば、1位になってもそれほど儲からない球団もあるとする。例えば球団の関連企業に TV 局がある場合は順位が視聴率に影響して、収益にも影響してくるだろう。
となると、オークションの性質からいってプロ野球の順位はその価値を最大にするような球団に提供される。
実力の拮抗した試合がみたいなら、球団にとっての順位の価値が同じになるような対策を取ればいい。「巨人一人勝ちを経済学で考える」で指摘されているように、「放映権の売却制度を,あらかじめ競争入札制度にし,その収益をプロ野球機構から順位に従って配分する」ことが対策としてはあると思う。
「巨人一人勝ちを経済学で考える」にあるように、巨人の一人勝ちによって結果が予測可能になって、選手のやる気がなくなって、一流選手同士のプレーが見られなくなって、野球の質を低下させるかもしれない。現実がどうかは知らないけど。もし本当だとして本質的に何がその原因になっているかいまいちよく分からない。
市場はどうしてプロ野球という製品を最適の状態で提供することが出来ないのだろうか。
市場に任せていないから最適にならないのか、これが最適なのか、市場に任せていてかつ市場が失敗しているのか。
それぞれの消費者のニーズに合わせた複数の商品を構造上提供できないのがそもそもの原因かな。つまり「水戸黄門みたいに強い球団が必ず勝つ試合を見たいという客」と「どちらが勝つかわからない実力の伯仲した試合を見たいという客」のニーズを同時に満たすことがスポーツの試合では根本的に出来ない。普通の企業ならそれぞれのニーズに合わせた商品を販売するのだろうけど、プロスポーツの場合それは非常に難しい。
となって、どちらのニーズを満たした場合に収益が多くなるかを考えて「水戸黄門みたいに強い球団が必ず勝つ試合を見たいという客」のニーズをプロ野球は満たすことになる。
巨人以外の球団の方から見れば、さらに投資して「実力の伯仲した試合」を提供するよりも「水戸黄門みたいな試合」を提供することに付き合っていた方が、収益が多いということになる。
とはいえ、長期的には試合結果が予測可能になって、選手のやる気がなくなって、一流選手同士のプレーが見られなくなるという弊害がでてくることは避けられない。あまりの実力差に客がシラけてしまうかも知れない。プロ野球自体に興味をなくすかも知れない。球団はなんとしてもそれだけは防ごうとするだろう。
結論。客をシラけさせない程度の対策をこうじることに関しては球団同士で利害の一致を見ることが出来るだろう。その程度の何らかの対策が実行されることは期待できると思う。
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