どーもくんが……。
世界銀行内部で現在流行っている「内戦の開発経済学」のサーベイとカンボジアへの適用。木原教授による60ページほどの論文。おもしろい。
内戦の原因は「不平」ではなく「機会」である。Collier and Hoeffer (2001) は内戦の原因を統計的に調査した。これによれば、不平等・政治的権利・民族的分極化・宗教的分断などの「不平」よりも、天然資源や海外亡命者からの贈与などの資金へのアクセス・山岳や森林などの隠れやすい地形・内戦によって失われる所得が低いなどの「機会」のほうが、内戦の発生をより説明できる。
経済成長により所得が上昇し内戦によって失われる所得が増えれば、それだけ内戦のコストも上昇し、内戦を予防することが出来る。
西アフリカのダイヤモンド、カンボジアの木材、コロンビアのコカイン。天然資源へのアクセスの容易さが内戦の原因となる。ポル・ポト派の資金源は木材貿易だった。
内戦は経済の長期的な成長にあまり影響しない。短期的な成長には深刻な影響を与える。
内戦は近隣諸国にも深刻な影響を与える。当事国だけでなく、近隣諸国にも援助がなされるべき。アフリカの場合、内戦国から短期的には100km、長期的には500km圏内の国に影響が及ぶ。アジアの場合は、短期で300〜600km、長期で、700〜800km。アジアの方が内戦の影響は広範囲に及ぶ。
内戦終結後、経済は平均して通常よりも1.5%ほどの高い成長率を記録する。内戦が終って4年目の成長率が最も高い。これらは援助によるところが大きい。この時期の援助は通常の2倍ほどのパフォーマンスを記録する。非常に効率の良い援助となる。
しかし、これまでの内戦後の援助は、内戦が終ると急激に増え、2、3年経つと急激に減るパターンが多かった。内戦後の10年の合計で見ると、内戦がなかった場合よりも援助の総額が減っている場合さえあった。これは上に述べたことにより、非効率的な援助であることが分かる。
援助は徐々に増やして内戦終結後4年目にピークになるようなものが望ましい。
中所得国への援助よりも低所得国で高い成長率を示した方が世界全体の紛争リスクは下がる。
開発経済に関しては前に取り上げたウィリアム・イースタリー著『エコノミスト 南の貧困と闘う』が詳しい。
スティグリッツによるアウトソーシングに関する論説。経済板@いちごびびえすより。
「一歩間違えれば保護貿易を正当化しているようにも読める」が、「利上げすんな、ゴラァ」というのがスティグリッツの真意ではないかと。直接は書いてないけど。東洋経済のインタビューでは金融の引き締めに対して否定的だったし。
メーリングリストでの質問には以下のようにこたえる。
「口でクソたれる前と後に必ず man を読め! 分かったかウジ虫!」
間違いは素直に認める。
たまには辛口批判。
「98、Me、XP だと言っている会社は駄目である。このように、ソフトウェア業界は存亡の危機に陥っている。反論があるならいつでも受けて立つ。」
Enjoy s.
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