おもしろい。今回は伏線を回収する回なのでシリーズ構成の前川淳氏が脚本を担当している。このアニメは本当におもしろい。特に各話を通じての伏線やストーリーのながれ、つまりストーリー構成がテレビアニメとしてはほとんど例がないくらい複雑で深みのあるものになっている。
ハリウッドリライティングバイブルで述べられているメソッドをもとに説明してみる。
このアニメには主人公であるシロボンのストーリー以外にも複数のサブプロットが存在する。以下に列挙してみる。
「シロボンのストーリーA」、「シャウトのストーリーB」、「バーディのストーリーC」、「ガングとボンゴのストーリーD」、「ムジョーのストーリーF」、「ミスティのストーリーG」、「博士とバグラーとメカードのストーリーH」「マイティのストーリーI」
みて分かるように、ほとんど登場人物の数だけストーリーが存在する。
通常このように多くのストーリーを抱えた物語は破綻してしまう。そのためテレビアニメでは主要登場人物数人しかストーリーを持つことはない。ジェッターズの場合では破綻することなくどのように複数のストーリーをまとめあげているのだろうか。
「マイティのストーリー」をそれぞれのストーリーと交差させることで、複数のストーリーをひとつの大きなストーリーとして描くことに成功している。シロボンの兄であるマイティは登場人物全員と何らかの繋がりがある。つまりマイティのストーリーがメインのシロボンのストーリーと交差し、シロボンがリアクションを起こす。それに対して各キャラクターが何らかのリアクションを取る。こうして、それぞれのストーリーがすすんでいく。
アクションとリアクションが存在し、それらがストーリーラインと関係しているならばストーリーは動きつづける
ストーリーを動かすのに、大がかりなアクションは必要なく、すべてのアクションが、劇的なリアクションを必要とするわけでもない。ストーリーを動かすのは、アクションでもダイアローグでも感情的なリアクションでもかまわない。
アクション同士のつながりと、ストーリーを支える構成がある限り、脚本はしっかりと機能することだろう。(P126)
複数のストーリーがバラバラに存在するのではなく、必然性を持って交差することにより、全体に深みのあるストーリーになっている。
さて、ジェッターズのメインプロットは主人公シロボンの成長ストーリーである。どのような結末を向かえるか分からないが、今回も前川氏はどん欲に「シロボンのストーリー」と「バグラーとメカードのストーリー」を交差させるための伏線を張った。
バグラーとメカードの対立においてボムの力に関する考えの対立を描いた。これは「ボムの力はボムにあらず、心にあり」というシロボンの成長ストーリーと交差することを予感させる(フォーシャドゥイング)。これはどのようにペイオフされるだろうか。
物語も終盤にさしかかっているにもかかわらず、まだどん欲にネタを仕込む。凄い。
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