脳ざらし紀行


2004-07-14

_ [経済] Microsoftの特許非係争条項

マイクロソフトに対し特許関連の法的措置をとらないよう Windows を採用する PC メーカーに誓約させたという話。

奇妙に聞こえるかも知れないけどマイクロソフトが特許非係争条項によりライセンス料を払っていないこと自体は PC メーカーおよび消費者に悪い影響を与えない。

これを理解するためにマイクロソフト1社と PC メーカー1社しか存在しない場合を考える。もしマイクロソフトが特許のライセンス料を PC メーカーに真面目に払っていたとしよう。マイクロソフトは OS 市場を独占しているのでライセンス料の分を PC メーカーに供給する OS の価格に上乗せすることができる。

さて PC の価格はどうなるだろうか。PC の価格は変わらない。なぜなら PC メーカーにとって OS の価格は以前と変わらないからだ。以前の OS の価格にライセンス料が上乗せされているわけだけど、そのライセンス料は自分のものになるので結局 OS の価格は変わらない。よって、PC の価格も変わらない。

マイクロソフトがライセンスを払おうが払うまいが PC メーカーへの影響はない。消費者への影響もない。

もちろんこれは現実を単純化し過ぎている。現実には PC メーカーは複数存在し、マイクロソフトが払うべきライセンス料は PC メーカー毎に違うだろう。つまり、より多くのライセンス料をマイクロソフトから受け取る PC メーカーの方が価格競争において他のメーカーよりも有利に立てる。 こうして PC メーカーに新技術を開発して特許を取得しようというインセンティブが生まれる。

マイクロソフトが特許非係争条項によりライセンス料を払っていない場合、こうしたインセンティブは PC メーカーには生まれない。

つまりマイクロソフトは、ライセンス料を払っていないことに対してではなく、PC メーカーの新技術に対するインセンティブを阻害したことに対して罰せられるべきだ。

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