脳ざらし紀行


2004-04-22

_ [経済][本] 消費税はやはりいらない

八田達夫著『消費税はやはりいらない』、読了。『日本再生に「痛み」はいらない』の著者の一人による消費税批判の書。あと年金について。1994年に書かれた本だけど、まだ古くなっていない。

「高齢化社会に備えるために所得税ではなく消費税を引き上げる必要がある」という説明は嘘だと著者は言う。消費税は逆進的であり、かつ消費税は退職世代だけでなく現役世代も払うことになるから。

高齢化社会とは退職者が多くて、現役世代の少ない社会のこと。今のままでいくと将来の現役世代の負担が増えてしまうので、年金受給者も税を払うように消費税を導入してさらに消費税率を引き上げる必要があると説明されてきた。

しかし、高齢化おいて問題になるのは将来の現役世代(現在の20〜30才代)の負担増である。将来の現役世代は現在もそして将来も消費税を払わなければならない。消費税は逆進的である。また、現在の20〜30才代の収入は現在の50才代にくらべて少ない。

つまり消費税で将来の高齢化社会に必要な分をまかなおうとすると、その逆進性のせいで現在の20〜30才代に重い負担を課すことになってしまう。何のための消費税なのだろうか。将来の現役世代の負担を減らすためじゃなかったの?

で、八田氏は所得税の増税を提案する。日本の所得税は先進国にくらべて著しく低い。直接税の比率は高いけど、それは法人税が高いから。

課税最低限を引き下げて、最高税率をあげて、いまの50才代の人達に税金を払ってもらう。要するに、将来の退職世代に自分たちに必要な分は自分たちで払ってもらおうというわけ。だって、それ以外に将来の現役世代の負担を減らす方法なんてない。

また消費税は益税を通じて不平等をもたらす。売上が免税点(1000万円)以下の事業者は消費税の納税を免除される。多くの自営業者と農家がこれにあてはまる。しかしこれらの事業者は消費税分を値段に上乗せすることができるわけだから、その差額が益税となる。益税の総額は試算によると8000億円にのぼる。

益税を減らすには免税点を下げる必要がある。それには税務職員の拡充が必要。日本の税務職員は少なすぎる。

で、税制の細かい話は飛ばして、年金の話。

年金は破綻しない。問題はどうやって将来の現役世代の負担を減らすか。まず賦課方式から積立方式へ移行する。今でも税収から年金へ毎年3兆円ほど補填しているけど、これを5兆円ほどに増やす。財源は上に述べたように所得税の増税。これで2040年には日本政府の年金純債務がピーク(1400兆円)に達するものの、2090年には純債務は0になり、完全積立制への移行が完了する。

一般向けの本の割には結構難しい。けど、とてもおもしろい。

_ 1400兆円

1400兆円。誤字じゃないよ。

_ [経済] これからの税制のありかたについて

八田氏の2000年におこなった講演のまとめ。

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