Ruby 1.9.2 リファレンスマニュアル > ライブラリ一覧 > setライブラリ > Setクラス

class Set

クラスの継承リスト: Set < Enumerable < Object < Kernel < BasicObject

Abstract

集合を表すクラスです。要素の間に順序関係はありません。

特異メソッド

self[*ary] -> Set

与えられたオブジェクトを要素とする新しい集合を作ります。

[PARAM] ary:
新しい集合の要素を指定します。
p Set[1, 2] #=> #<Set: {1, 2}>
new(enum = nil) -> Set
new(enum = nil) {|o| ... } -> Set

引数 enum で与えられた要素を元に、新しい集合を作ります。

引数を指定しない場合、または引数が nil である場合には、空の集合を 作ります。

引数を与えてブロックを与えない場合、enum の各要素からなる集合を 作ります。

引数とブロックの両方を与えた場合、enum の各要素についてブロックを 評価し、その結果を新しい集合の要素とします。

[PARAM] enum:
集合要素を格納するオブジェクトを指定します。 enum には each メソッドが定義されている必要があります。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum が与えられて、かつ enum に each メソッドが 定義されていない場合に発生します。
p Set.new                      #=> #<Set: {}>
p Set.new([1, 2])              #=> #<Set: {1, 2}>
p Set.new([1, 2]) {|o| o * 2}  #=> #<Set: {2, 4}>

インスタンスメソッド

intersection(enum) -> Set
self & enum -> Set

共通部分、すなわち、2つの集合のいずれにも属するすべての要素からなる 新しい集合を作ります。

[PARAM] enum:
each メソッドが定義されたオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
s1 = Set[10, 20, 30]
s2 = Set[10, 30, 50]
p s1 & s2 #=> #<Set: {30, 10}>
union(enum) -> Set
self + enum -> Set
self | enum -> Set

和集合、すなわち、2 つの集合の少なくともどちらか一方に属するすべての 要素からなる新しい集合を作ります。

[PARAM] enum:
each メソッドが定義されたオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
p Set[10, 20, 30] + Set[10, 20, 40]
#=> #<Set: {40, 30, 20, 10}>
difference(enum) -> Set
self - enum -> Set

差集合、すなわち、元の集合の要素のうち引数 enum に含まれる要素を取り除いた 新しい集合を作ります。

[PARAM] enum:
each メソッドが定義されたオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
p Set[10, 20, 30] - Set[10, 20, 40]
#=> #<Set: {30}>
add(o) -> self
self << o -> self
add?(o) -> self | nil

集合にオブジェクト o を加えます。

add は常に self を返します。<< は add の別名です。

add? は、集合に要素が追加された場合には self を、変化がなかった場合には nil を返します。

[PARAM] o:
追加対象のオブジェクトを指定します。
s = Set[1, 2]
s << 10
p s          #=> #<Set: {1, 2, 10}>
p s.add?(20) #=> #<Set: {1, 2, 20, 10}>
p s.add?(2)  #=> nil
self == set -> bool

2 つの集合が等しいときに true を返します。

より厳密には、引数 set が Set オブジェクトであり、自身と set が同数の 要素を持ち、かつそれらの要素がすべて等しい場合に true となります。 それ以外の場合には、false を返します。 要素の等しさは Object#eql? により判定されます。

[PARAM] set:
比較対象のオブジェクトを指定します。
s1 = Set[10, 20, 30]
s2 = Set[10, 30, 40]
s3 = Set[30, 10, 30, 20]
p s1 == s2 #=> false
p s1 == s3 #=> true
self ^ enum -> Set

対称差、すなわち、2 つの集合のいずれか一方にだけ属するすべての要素からなる 新しい集合を作ります。

[PARAM] enum:
each メソッドが定義されたオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
s1 = Set[10, 20, 30]
s2 = Set[10, 30, 50]
p s1 ^ s2 #=> #<Set: {50, 20}>
classify {|o| ... } -> Hash

集合をブロックの値によって分類し、結果をハッシュとして返します。

ブロックは集合の各要素について実行され、引数 o にはその要素が 渡されます。

生成されるハッシュのキーはブロックの実行結果、値は分類された集合と なります。

numbers = Set[10, 4.5, 20, 30, 31.2]
p numbers.classify {|o| o.class}
#=> {Float=>#<Set: {4.5, 31.2}>, Fixnum=>#<Set: {30, 20, 10}>}
clear -> self

集合の要素をすべて削除し、空にした後の self を返します。

p s = Set[10, 20, 30] #=> #<Set: {30, 20, 10}>
s.clear
p s #=> #<Set: {}>
clone -> Set
dup -> Set

集合を複製して返します。

dup は、集合の内容と taint 情報のみコピーします。 clone は、それに加えて、freeze 情報と特異メソッドをコピーします。 いずれも共通して、内部記憶として保持するハッシュもコピーしますが、 集合の要素そのものはコピーしません。

Ruby 1.9 の Set クラスでは、dup と clone に共通して、内部記憶として 用いるハッシュも含めて taint 情報をコピーします。 ただし、clone では内部記憶の freeze 情報はコピーされません。 このため、freeze された集合を clone した場合、生成された集合の要素は 変更可能である点に注意してください。

s1 = Set[10, 20]

s2 = s1.dup
s2 << 30
p s1 #=> #<Set: {20, 10}>
p s2 #=> #<Set: {30, 20, 10}>

[SEE_ALSO] Object#clone

collect! {|o| ...} -> self
map! {|o| ...} -> self

集合の各要素についてブロックを評価し、その結果で元の集合を置き換えます。

set = Set['hello', 'world']
set.map! {|str| str.capitalize}
p set  #=> #<Set: {"Hello", "World"}>

[SEE_ALSO] Enumerable#collect

delete(o) -> self
delete?(o) -> self | nil

集合からオブジェクト o を削除します。

delete は常に self を返します。

delete? は、集合の要素が削除された場合には self を、変化がなかった場合 には nil を返します。

[PARAM] o:
削除対象のオブジェクトを指定します。
s = Set[10, 20, 30]
s.delete(10)
p s             #=> #<Set: {30, 20}>
p s.delete?(20) #=> #<Set: {30}>
p s.delete?(10) #=> nil
delete_if {|o| ... } -> self
reject! {|o| ... } -> self | nil

集合の各要素に対してブロックを実行し、その結果が真であるようなすべての 要素を削除します。

delete_if は常に self を返します。

reject! は、要素が 1 つ以上削除されれば self を、1 つも削除されなければ nil を返します。

s1 = Set['hello.rb', 'test.rb', 'hello.rb.bak']
s1.delete_if {|str| str =~ /\.bak$/}
p s1 #=> #<Set: {"test.rb", "hello.rb"}>

s2 = Set['hello.rb', 'test.rb', 'hello.rb.bak']
p s2.reject! {|str| str =~ /\.bak$/} #=> #<Set: {"test.rb", "hello.rb"}>
p s2.reject! {|str| str =~ /\.o$/}   #=> nil

[SEE_ALSO] Enumerable#reject

divide {|o| ... } -> Set
divide {|o1, o2| ... } -> Set

商集合を計算します。すなわち、元の集合をブロックで定義される関係で 分割し、その結果を集合として返します。

ブロックの引数が 1 個の場合、block.call(o1) == block.call(o2) が真 ならば、o1 と o2 は同じ分割に属します。

ブロックの引数が 2 個の場合、block.call(o1, o2) が真ならば、 o1 と o2 は同じ分割に属します。

例1

numbers = Set.new(1..6)
set = numbers.divide {|i| i % 3}
p set
#=> #<Set: {#<Set: {5, 2}>, #<Set: {1, 4}>, #<Set: {6, 3}>}>

例2

numbers = Set[1, 3, 4, 6, 9, 10, 11]
set = numbers.divide {|i, j| (i - j).abs == 1}
p set     #=> #<Set: {#<Set: {1}>,
          #           #<Set: {11, 9, 10}>,
          #           #<Set: {3, 4}>,
          #           #<Set: {6}>}>

応用例

8x2 のチェス盤上で、ナイトが到達できる位置に関する分類を作成します。

require 'set'

board = Set.new
m, n = 8, 2
for i in 1..m
  for j in 1..n
    board << [i,j]
  end
end
knight_move = Set[1,2]
p board.divide { |i,j|
  Set[(i[0] - j[0]).abs, (i[1] - j[1]).abs] == knight_move
}
#=> #<Set: {#<Set: {[6, 2], [4, 1], [2, 2], [8, 1]}>,
#            #<Set: {[2, 1], [8, 2], [6, 1], [4, 2]}>,
#            #<Set: {[1, 1], [3, 2], [5, 1], [7, 2]}>,
#            #<Set: {[1, 2], [5, 2], [3, 1], [7, 1]}>}>
each {|o| ... } -> self

集合の各要素についてブロックを実行します。

s = Set[10, 20]
ary = []
s.each {|num| ary << num + 1}
p ary #=> [21, 11]
empty? -> bool

集合が要素を 1 つも持たないときに true を返します。

p Set[10, 20].empty? #=> false
p Set[].empty?       #=> true
flatten -> Set
flatten! -> self | nil

集合を再帰的に平滑化します。

flatten は、平滑化した集合を新しく作成し、それを返します。

flatten! は、元の集合を破壊的に平滑化します。集合の要素に変更が 発生した場合には self を、そうでない場合には nil を返します。

[EXCEPTION] ArgumentError:
集合の要素として自身が再帰的に現れた場合に発生 します。
s = Set[Set[1,2], 3]
p s.flatten #=> #<Set: {1, 2, 3}>
p s         #=> #<Set: {#<Set: {1, 2}>, 3}>
s.flatten!
p s         #=> #<Set: {1, 2, 3}>

[SEE_ALSO] Array#flatten

include?(o) -> bool
member?(o) -> bool

オブジェクト o がその集合に属する場合に true を返します。

[PARAM] o:
オブジェクトを指定します。
set = Set['hello', 'world']
p set.include?('world') #=> true
p set.include?('bye') #=> false
inspect -> String

人間の読みやすい形に表現した文字列を返します。

puts Set.new(['element1', 'element2']).inspect
#=> #<Set: {"element1", "element2"}>
size -> Integer
length -> Integer

集合の要素数を返します。

p Set[10, 20, 30, 10].size #=> 3
merge(enum) -> self

元の集合に enum で与えられた要素を追加します。

引数 enum には each メソッドが定義されている必要があります。

[PARAM] enum:
追加対象の要素を格納したオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
set = Set[10, 20]
set.merge([10, 30])
p set #=> #<Set: {30, 20, 10}>
subset?(set) -> bool
proper_subset?(set) -> bool

自身が集合 set の部分集合である場合に true を返します。

subset? は、2 つの集合が等しい場合にも true となります。

proper_subset? は、2 つの集合が等しい場合には false を返します。

[PARAM] set:
比較対象の Set オブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] ArgumentError:
引数が Set オブジェクトでない場合に発生します。
s = Set[1, 2]
p s.subset?(Set[1, 2, 3]) #=> true
p s.subset?(Set[1, 4]) #=> false
p s.subset?(Set[1, 2]) #=> true
p s.proper_subset?(Set[1, 2, 3]) #=> true
p s.proper_subset?(Set[1, 4]) #=> false
p s.proper_subset?(Set[1, 2]) #=> false

[SEE_ALSO] Set#superset?

superset?(set) -> bool
proper_superset?(set) -> bool

自身が集合 set の上位集合 (スーパーセット) である場合に true を 返します。

superset? は、2 つの集合が等しい場合にも true となります。

proper_superset? は、2 つの集合が等しい場合には false を返します。

[PARAM] set:
比較対象の Set オブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] ArgumentError:
引数が Set オブジェクトでない場合に発生します。
s = Set[1, 2, 3]
p s1.superset?(Set[1, 2]) #=> true
p s1.superset?(Set[1, 4]) #=> false
p s1.superset?(Set[1, 2, 3]) #=> true
p s.proper_superset?(Set[1, 2]) #=> true
p s.proper_superset?(Set[1, 4]) #=> false
p s.proper_superset?(Set[1, 2, 3]) #=> false

[SEE_ALSO] Set#subset?

replace(enum) -> self

集合の要素をすべて削除し、enum で与えられた要素に置き換えます。

引数 enum には each メソッドが定義されている必要があります。

[PARAM] enum:
置き換え後の集合要素を格納するオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
p s = Set[10, 20, 30] #=> #<Set: {30, 20, 10}>
s.replace([15, 25])
p s #=> #<Set: {25, 15}>
subtract(enum) -> self

元の集合から、enum で与えられた要素を削除します。

引数 enum には each メソッドが定義されている必要があります。

[PARAM] enum:
削除対象の要素を格納したオブジェクトを指定します。
[EXCEPTION] NoMethodError:
引数 enum に each メソッドが定義されていない場合に 発生します。
set = Set[10, 20, 40]
set.subtract([10, 20, 30])
p set #=> #<Set: {40}>
to_a -> Array

自身を配列に変換します。要素の順序は不定です。

set = Set['hello', 'world']
p set.to_a
#=> ["world", "hello"]

Methods

Classes